2003 Fiscal Year Annual Research Report
農地資源の持続的保全のための低コストな維持管理手法の開発
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14360141
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
有田 博之 新潟大学, 農学部, 教授 (40313506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟生田 忠雄 新潟大学, 農学部, 助手 (10282998)
大黒 俊哉 (独)農業環境技術研究所, 生物環境安全部, 主任研究官 (70354024)
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Keywords | 耕作放棄田 / 復田コスト / 植生 / 遷移 / 持続的農業 / 農地資源 / 資源保全 |
Research Abstract |
本年度は、日本海側の新潟県東頸城郡大島村、茨城県つくば市、岐阜県恵那市の耕作放棄農地を対象として、以下のような調査を行った。太平洋側の恵那市・つくば市でも、昨年度と同様、調査対象となる圃場調査をしたが、聞き取りをした結果、何らかの形で手の入っている圃場が多かっため、植生の類型化調査等にとどめ、復田費用調査は断念しなければならなかった。大島村で行った調査は以下のようである。 (1)現地踏査によって耕作放棄田の内でも樹木の侵入があるもの45圃場の選定、(2)空中写真、土地所有者へのアンケート等による耕作放棄後年数の推定樹木の侵入がある農地の植生調査、(3)侵入した樹木の樹種、樹木の高さ、幹の径の調査、(4)復田に係わる樹木の伐採、搬出時間の調査、(4)復田に係わる均平作業の調査、(5)耕作放棄田の放棄後年数と基盤支持力の関係の調査 調査研究で把握できた事項は以下のようである。 (1)樹木の侵入は耕作放棄の初期段階の乾湿、あるいは圃場の陰陽、周辺の植生等に大きく左右されるため、樹木の種類、植生の形態も多様であることを確認した。 (2)侵入した樹種は、圃場単位で見ると数種類にとどまり多くはなかった。 (3)侵入した樹種は乾地型と湿地型では異なり、乾地型農地ではタニウツギ、ヤハズハン、ヤマグワ等が、湿地型ではヤナギ類、ハン類等が多くの耕作放棄圃場で認められた。 (4)侵入した樹木は、初期には生育速度は緩慢だが、競争関係にある草本より高くなった段階で急速に生育速度を速める傾向があることを確認できた。 (5)耕作放棄圃場で、現場で行われる作業形態に沿って、樹木の伐採、抜根、搬出作業を行い、作業時間を把握した。 (6)基盤の支持力調査では、耕作放棄後、乾地型農地では短期の内に水田土壊の特質を失い、畑地と近似するが、湿地型では水田型の圃場特性を長期に亘って維持する傾向が認められた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 有田博之, 山本真由美, 友正達美, 大黒俊哉: "耕作放棄水田の復田コストからみた農地保全対策-新潟県東頸城郡大島村を事例として"農業土木学会論文集. 225. 95-102 (2003)
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[Publications] 姜賢敬, 大黒俊哉, 新國聖子, 粟生田忠雄, 有田博之: "中山間地における耕作放棄水田の植生遷移に影響を及ぼす要因に関する研究"農村計画学会誌. (印刷中).
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[Publications] 大黒俊哉, 白戸康人, 伊藤一幸: "絶滅危倶植物タコノアシ個体群の維持にかかわる放棄水田の環境特性"ランドスケープ研究. 66(5). 599-602 (2003)
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[Publications] Kang, H., T.Ohkuro, M.Ide: "Vegetation structure and environmental characteristics of native habitats for a vulnerable plant species Penthorum chinense-a focus on the southern part of Ibaraki, Japan-"Journal of Korean Institute of Landscape Architecture. 31(2). 83-93 (2003)
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[Publications] 大黒俊哉, 姜賢敬, 井手任: "茨城県南部における絶滅危惧植物タコノアシ自生地の群落構造と立地特性"日本生態学会第50回大会講演要旨集. 244 (2003)
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[Publications] 大黒俊哉, 姜賢敬, 新國聖子, 粟生田忠雄, 有田博之: "植生からみた農地資源保全のための耕作放棄水田の類型化-太平洋側中山間地における事例-"農村計画学会2003年度春期大会・学術研究発表会要旨集. 29-30 (2003)