Research Abstract |
1.この研究は,吊り下げ移動型トマト栽培施設において,定植後の一連の作業をロボットにより行う作業システムを確立することを目的としている。 2.収穫実験は前年度まで,普通サイズのトマトを対象とし,果梗の離層で離脱させることを試みていたが,果実からへたが取れることがあった。このため今年度は,収穫対象をミニトマトとし,上指のフックで小果梗に力を加えて収穫するエンドエフェクタを試作して実験を行った。実験の結果,三次元視覚センサにより果実および茎葉や支柱などの障害物の位置認識が可能であり、果実と障害物の位置関係から障害物を避けてエンドエフェクタを果実に接近できることを確認した。さらに,上指のフックで小果梗に力を加えることにより,へたを果実に付けたまま収穫できることも確認した。 3.摘葉作業については,三次元視覚センサを用いて,葉柄の根元を認識して,摘葉用エンドエフェクタで摘葉する実験を行った。葉柄の根元は,主茎,支柱,葉などに隠れることがある。このため,ロボット側からだけでなく,右および左からも含む3視点かち走査を行い,認識性能を調査した。その結果,主茎に対する葉柄の方向がどの方向であっても,いずれかの視点からはほぼ確実に認識できることを確認した。また,赤い果実も認識可能であり,収穫適期の赤い果房を基準とした摘葉深さの判断も可能であった。摘葉用エンドエフェクタについては,把持して刃で切断する方式と把持した葉柄を折り曲げる方式の実験を行ったが,いずれも摘葉が可能であり,摘葉した葉を把持してロボットの動きにより所定の場所に移動させることも可能であったた。 4.誘引作業については,前年度に試作したテープ巻き付け型のエンドエフェクタ以外に,今年度はプラスチックリングで主茎を支柱に誘引するエンドエフェクタの試作を行った。このエンドエフェクタについては,今後実験を行い,誘引性能を明らかにする。
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