2002 Fiscal Year Annual Research Report
鶏の卵管における抗サルモネラ菌免疫応答とその内分泌的調節
Project/Area Number |
14360169
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉村 幸則 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (10167017)
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Keywords | サルモネラ / 卵管 / 免疫組織学 / 好酸球 / 菌の組織侵襲 / ウズラ / 卵 / 生殖器 |
Research Abstract |
家禽のサルモネラ菌による感染が増加しているが、卵の内部の感染は、食料としての安全性のみならず、ヒナにも感染が及ぶため深刻である。卵形成の場である生殖器に菌が潜伏すると保菌卵が産卵されると考えられるので、卵管の免疫機能を強化する必要がある。S.enteritidis(SE菌)が卵管組織内に潜伏する機構と、組織内におけるSE菌と免疫応答との関連は明らかでない。本研究は、これを明らかにするために、卵管におけるSE菌の潜伏様式の組織学的特性と、卵管組織内でSE菌に対して働く免疫応答の機構を追究した。SE菌を腹腔内に接種して24時間または48時間後に、卵管と、卵巣やその他の腹腔内臓器を採取し、免疫組織化学的にSE菌の局在を追究した。その結果、卵管では各部の粘膜上皮下に多くの菌が認められ、その他に粘膜上皮細胞内や固有層にも散在していた。SE菌は卵巣組織や肝臓、腎臓、脾臓、大腸粘膜の各組織内にも認められた。一方、SE菌を膣部に接種して12時間または24時間後に卵管の各部を切片として偽好酸球の分布を組織学的に解析したところ、これの分布は摂取に伴って膣部で増加した。これらの結果から、SE菌は卵管粘膜をはじめとして各臓器の表面から組織内へ侵入すること、卵管では粘膜上皮に潜伏する可能性があること、さらに菌の排除に好酸球が関わることが示唆された。菌が排除されずに潜伏すると感染卵の産卵につながるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)