2004 Fiscal Year Annual Research Report
鶏の卵管における抗サルモネラ菌免疫応答とその内分泌的調節
Project/Area Number |
14360169
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉村 幸則 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (10167017)
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Keywords | ニワトリ / サルモネラ菌 / 抗菌ペプチド / 免疫 / 産卵 / 生殖器 / MHC / T細胞 |
Research Abstract |
家禽のサルモネラ菌による感染は深刻化を増しており,食品の安全性確保のためにこれの対策が急務となっている。平成15年度までにサルモネラ菌(Salmonella enteritidis; SE菌)が卵管粘膜表面から組織内へ侵入する特性があることを明らかにした。これが卵管に潜伏すると保菌卵が産卵されると考えられる。本年度は,(1)卵管組織内でSE菌に対して働く獲得免疫の機構,および(2)卵管の抗菌ペプチドの発現と産卵機能との関係ならびにSE菌との関係を解析した。 産卵鶏の生体内にSE菌を接種し,卵管と卵巣における主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII,ヘルパー/炎症性T細胞(CD4),細胞障害性/サプレッサーT細胞(CD8)の動態を組織化学染色を施した。その結果,SE菌は卵管粘膜に侵入すること,また,培養系でもSE菌は卵巣のMHCクラスII発現を増加させることを明らかにし,これらの細胞がSE菌の除去に働くことを示唆した。 前年度までに新規な抗菌ペプチドとして知られるディフェンシンが卵管で発現する可能性をRT-PCR法とin situハイブリダイゼーション法で示したが,本年度はこのペプチドの抗体を作製し,ペプチドが卵管で発現することも示した。またこれのmRNA発現は加齢に伴って増加すること,産卵期に高く休産期に低下すること,そしてSE菌に応答して高まることを明らかにした。このペプチドはSE菌に反応して高まるので,獲得免疫系とともにこれの除去に働き,また産卵期に発現が高いことから内分泌的影響を受けて発現が調節されていることを示唆した。
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Research Products
(6 results)