2003 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚シナプスにおける情報伝達の分子機構の解明とin vitro鎮痛評価系の開発
Project/Area Number |
14360171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 茂男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40109509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乙黒 謙一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40344494)
太田 利男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (20176895)
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Keywords | 背根神経節細胞 / 新生ラット摘出脊髄標本 / 副腎髄質細胞 / オピオイド受容体 / アドレナリンα2受容体 / バニロイド受容体 / 5-HT受容体 / 鎮痛・鎮静薬 |
Research Abstract |
(1)培養背根神経節ニューロンと培養小腸ニューロンの薬物感受性 新生ラットの脊髄背根神経節と小腸の神経細胞を酵素的に分離培養し、Ca反応を指標にしてキャプサイシンやブラジキニンおよびセロトニン感受性を調べた結果、小腸神経細胞ではセロトニンが、また神経節細胞ではブラジキニンが、カプサイシン反応を増強することが示された。 (2)バニロイド受容体の機能解析 昨年度クローニングしたキャプサイシン反応に関与するブタバニロイド受容体(ブタTRPV1)はラット、ヒト、モルモット遺伝子と高い相同性があった。この受容体をHEK293細胞に強制発現させ、TRPV1受容体蛋白質の機能解析を行った結果、TRPV1発現細胞はカプサイシン等により細胞内Ca増加と非選択的陽イオン電流を引き起こした。また、細胞外pHの低下、高温(>42℃)によりチャネルが活性化されたことから、ブタTRPV1が機能的なポリモーダル受容体として働いていることが明らかになった。 (3)新生ラット摘出脊髄標本による発痛物質および鎮痛薬の評価 摘出ラット新生摘出脊髄標本を用いて、背根神経線維の刺激により誘発される痛み受容反射電位に対するアドレナリンα2受容体刺激薬、デックメデトミジン(DEC)、キシラジン(XY)、クロニジン(CLO)およびオピエート受容体刺激薬、モルヒネ(MOR)とDPDPEの抑制作用の力価を調べた結果、鎮痛作用の力価はDEC>DPDPE=MOR>CLO>XYの順であった。オピエート受容体刺激薬とα2受容体刺激薬の併用による相乗作用は見られなかった。 (4)新生ラット体動試験による発痛物質および鎮痛薬の評価 新生ラット背部にカプサイシンあるいはフォルマリンを投与し、これら発痛物質による体動増加に対するDEC、XYおよびMORの抑制作用を調べた。ホルマリン誘発体動はこれら薬物により効果的に抑制された。しかし、カプサイシン誘発体動はDECとMORで抑制されたが、XYでは抑制されなかった。DEXとMORの併用による鎮痛作用の相乗作用はみられなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuki Yonekubo: "Two distinct inhibitory actions of steroids on cholinoceptor mediated secretion of catecholamine from guinea-pig adrenal medullary cells"Neuroscience Letters. 337. 89-92 (2003)
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[Publications] Toshio Ohta: "Ca2+ store-independent augmentation of [Ca2+]i responses to G-protein coupled Receptor activation in recombinatly TRPC5-expressed rat pheochromocytoma (PC12) cells."Neuroscience Letters. (In Press). (2004)