2004 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚シナプスにおける情報伝達の分子機構の解明とin vitro鎮痛評価系の開発
Project/Area Number |
14360171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 茂男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40109509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 利男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (20176895)
乙黒 兼一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40344494)
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Keywords | 背根神経節細胞 / 新生ラット摘出脊髄標本 / バニロイド受容体 / 5-HT受容体 / アデノシン受容体 / アシドーシス / 亜鉛 / 神経因性疼痛モデル |
Research Abstract |
(1)ラットバニロイド受容体(VR1)のクローニングならびにラットとブタVR1の比較 GATEWAYシステムを用いてラットバニロイド受容体遺伝子をクローニングし、GFP融合蛋白としてHEK293細胞に発現させ機能解析を行った。ラットVR1遺伝子は昨年度クローニングした839アミノ酸でコードされたブタVR1と84%のホモロジーを示した。ラットVR1のカプサイシン反応性はブタVR1とほぼ同じだったが、細胞外プロトン反応性はブタVR1よりも弱かった。 (2)一次知覚神経細胞(DRG)におけるカプサイシン反応の5-HTによる増強効果 培養新生ラットDRG細胞には、VR1が存在し、カプサイシン投与により細胞内Ca濃度が増加した。5-HT(5-hydroxytryptamine)はカプサイシン反応を濃度依存性に増強した。この増強反応はそれぞれPKCとPKA阻害薬により抑制された。DRG細胞には、5-HT2Aと5-HT7受容体が発現し、カプサイシン反応はそれぞれの受容体作動薬により増強され、この増強反応は受容体拮抗薬により抑制された。 (3)脊髄における高炭酸によるシナプス抑制の解析 新生ラット摘出脊髄を高炭酸(20%CO_2)通気栄養液(pH6.7)で灌流すると、単シナプス反射電位と遅発性前根電位が抑制された。pH6.7に調整した栄養液(5%CO_2通気)でも同様の抑制反応が観察された。この抑制反応はアデノシンA1受容体拮抗薬で減弱した。細胞外アデノシン濃度を高める酵素阻害薬を用いて調べた結果、アデノシンキナーゼ阻害薬が高炭酸と類似した抑制作用を示した。 (4)脊髄における亜鉛によるシナプス増強の解析 新生ラット摘出脊髄に亜鉛(5μM)を適用すると、単シナプス反射電位と後根電位は影響を受けず、遅発性前根電位のみが増強した。この増強反応は、グルタミン酸NMDA受容体拮抗薬で抑制された。 (5)新生ラットにおける神経因性疼痛モデルの作出 新生ラットの坐骨神経を結紮し、神経因性疼痛モデルを作出した。L5神経線維の活動電位に対するtetrodotoxin感受性を正常動物と比較したが、両者に大きな差は認められなかった。
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Research Products
(2 results)