2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳室上衣細胞のエネルギーセンシングメカニズムと摂食及び生殖の制御
Project/Area Number |
14360177
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前多 敬一郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30181580)
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Keywords | 上衣細胞 / 性腺刺激ホルモン / グルコースセンシング / ATP / ATP受容体 / カテコールアミンニューロン / 脂肪酸 / ケトン体 |
Research Abstract |
本研究では、延髄付近の上衣細胞が、エネルギーレベルを包括的に感知している、という仮説を証明することを目的とする。 1.脳内各領域におけるグルコキナーゼの同定 すでに、上衣細胞やセロトニンニューロン、視床下部におけるグルコキナーゼについてはクローニングを行い、膵臓型の一つであるB1が脳の中では優位を占めることを明らかにした。また転写開始点についても膵臓に類似していることを示した。さらに血糖値により上衣細胞のグルコキナーゼ発現だけが負の制御を受けていることを発見し、血糖感知機構との関連が示唆された。 2.ケトン体と遊離脂肪酸の上衣細胞における感知機構 ケトン体と遊離脂肪酸がin vitroにおいて、上衣細胞に感知され細胞内カルシウムを上昇させるということをすでに明らかにしている。今年度は、グルコースとケトン体が同じ細胞で感知されていることを明らかにした。さらに、ケトン体が細胞内の代謝系を介してカルシウム濃度を調節しているのかどうかを検討するため、ケトン体のトランスポーターの阻害剤を投与したところ、細胞内カルシウムの上昇を阻害したことから、ケトン体はMCTを介して上衣細胞に取り込まれ、感知されていると考えられた。 3.上衣細胞からのエネルギーレベルに応じたATP分泌 ATPが上衣細胞から次の神経細胞へとエネルギーレベルの情報を伝達する神経伝達物質であることを明らかにするため、上衣細胞を培養し、in vitroにおいて細胞外液中のグルコース濃度を変化させた場合に、培養液中に放出されるATPの量を測定しようとした。上衣細胞から放出されるATPのレベルが低く、今後測定系の改良が必要であると思われた。
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Research Products
(5 results)