2002 Fiscal Year Annual Research Report
強毒ニューカッスル病ウイルスの起源とその病原性獲得に関する研究
Project/Area Number |
14360178
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00176348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 啓史 鳥取大学, 農学部, 講師 (10332777)
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Keywords | ニューカッスル病 / 水禽 / 家禽 / 病原性 / 起源 / NDV / 鶏 / 開裂 |
Research Abstract |
ニューカッスル病は今なお世界中の養鶏産業に多大な経済的損失をもたらしている重要な疾病の一つである。本病の病原体であるニューカッスル病ウイルスの起源は野生の水鳥が保有する弱毒ウイルスであると考えられているが、このウイルスがどのような機序で鶏に対する病原性を獲得するのかは未だ明らかではない。そこで本研究ではその病原性獲得機構の分子レベルでの解明を目的として、まず、野生水禽由来弱毒ニューカッスル病ウイルスを鶏で実験継代した。鶏雛の気嚢で9代、続いて脳で5代継代した結果、鶏に対して致死率100%の強毒変異株を得ることに成功した。その弱毒親株及び一連の継代変異株についてウイルス表面糖蛋白の一つであるF蛋白開裂部位のアミノ酸配列を比較した結果、親株の開裂部位には塩基性アミノ酸Rが-1位と-4位に各々単独で存在する弱毒型のアミノ酸配列が存在したが、気嚢継代9代目のウイルス9aでは-2位のGluが塩基性アミノ酸Lysに、-5位のGlnもLysに置換していた。さらに脳で1代目の9a1b株ではF1蛋白N末のアミノ酸がLeuからPheに置換していた。即ち継代を繰り返す間に3箇所の点変異が起こり、結果的にKRQKR/Fという典型的な強毒型の配列に変化していた。 次に一連の継代株の病原性を比較した結果、継代を重ねるに従って、ICPI(脳内病原性)値及びIVPI(静脈内病原性)値の上昇とMDT(鶏胎児平均致死時間)の短縮が認められた。また、鶏体内の各臓器における増殖を調べた結果、継代に伴って、最初は殆ど増殖できなかった親株が、徐々に増殖能を獲得し、最終的には脳を含む全身の臓器で増殖可能な強毒株に変化したことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shengqing, Y.: "Generation of Velogenic Newcastle Disease Viruses from a Nonpathogenic Waterfowl Isolate by Passaging in Chickens"Virology. 301(2). 206-211 (2002)
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[Publications] Shengqing, Y.: "Isolation of Myxoviruses from Migratory Waterfowls in San-in District, Western Japan in winters of 1997-2000"J. Vet. Med. Sci.. 64(11). 1049-1052 (2002)
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[Publications] Murakawa, Y.: "Haemagglutininating activity of the lentogenic Newcastle disease virus strain MET95"Avian Pathology. 32. 39-45 (2003)