2002 Fiscal Year Annual Research Report
腸管・脳血液バリアーにおける鉄結合性蛋白の選択的輸送機構と生体内での新規作用
Project/Area Number |
14360179
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 悦守 鳥取大学, 農学部, 教授 (90001536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 崇 鳥取大学, 農学部, 助手 (20216849)
佐藤 宏 鳥取大学, 農学部, 教授 (20301286)
北川 浩 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40125307)
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Keywords | ラクトフェリン / 初乳 / 体内移行動態 / 脳脊髄液 / ストレス / 疼痛緩和 / オピオイド / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
【ラクトフェリン(Lf)の体内移行動態】ホルスタイン種ウシ新生子を用いて、ウシ初乳を経口投与(30mml/kg)し、Lfの血液中への移行並びに血液から脳脊髄液への移行を経時的に解析した。その結果、新生子では、初乳投与後8時間で血漿Lf濃度は最大となり、脳脊髄液中のLf濃度も10時間で最大となった。また、^<125>I標識したLfによるRadio Ligand Receptor Assayの結果から、Lfの体内移行は小腸の上皮細胞膜並びに脳脈絡叢上皮細胞膜に存在するLf受容体を介して特異的に行われることが明らかとなった。 【母親からの分離不安に対するLfの効果】幼若動物の中枢神経系機能に対するLfの生理作用を明らかにする目的で、10日齢のWistar-Imamichiラットを親ケージから隔離し、子ラットの探索行動及び超音波発声(USV)を指標として不安状態を評価した。隔離30分前にLf(100mg/kg, ip)を投与すると、探索行動及びUSVは対照群に比べて有意に抑制された。Lfによるこの抑制効果はNaloxone, CTOP, norBNIなどのオピオイド受容体拮抗薬によって消失した(Society For Neuroscience 32^<nd> Annual Meeting, Orlando, USA, Nov.2-7,2002に学会発表)。 【Lfによる疼痛緩和効果】成熟ラットを用いてホルマリンテスト、ホットプレートテスト、酢酸ライジングテストを行ったところ、Lfはいづれのモデルにおいても疼痛を有意に緩和した。この効果はNaloxone、及びNOS阻害薬であるL-NAMEの前処置で消失したことから、Lfは軽度にNO産生を上昇させ、内因性オピオイド作用を増強することによって疼痛を緩和すると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Talukder, M.J.R.: "Characteristic transport of colostral macromolecules into the cerebrospinal fluid via plasma in newborn calves"Journal of Dairy Science. 85. 514-524 (2002)
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[Publications] Hayashida, K.: "Novel central function of milk-derived lactoferrin on anti-nociception mediated by the μ-opioid receptor"Brain Research. 965. 239-245 (2003)