2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管・脳血液バリアーにおける鉄結合性蛋白の選択的輸送機構と生体内での新規作用
Project/Area Number |
14360179
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 悦守 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (90001536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 浩 国立大学法人神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40125307)
佐藤 宏 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (20301286)
竹内 崇 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助手 (20216849)
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Keywords | ラクトフェリン / 初乳 / 体内移行動態 / 脳脊髄液 / ストレス / 疼痛緩和 / オピオイド / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
【特異的受容体を介したLFの脳脊髄液への移行動態】ウシ新生子および若齢ウシ(約5ヶ月齢)の脳室脈絡叢から調製した膜標品を用いて、[^<125>I]-lactoferrinとの特異結合を調べたところ、それぞれのBmaxは16.9,26.2nmol/mg protein、Kdは0.34,0.11μMであった。すなわち、脳室脈絡叢のLF受容体結合能は新生子よりも成動物で発達していることが明らかとなった。この点は、小腸におけるLF受容体の特性と逆の結果であり、LFの生理作用を反映する重要な所見であると思われる。さらに免疫組織学的解析からも、脳質脈絡上皮細胞、脳血管上皮に抗-LF抗体に対する強陽性像が確認されたことから、血液から脳脊髄液へのLFの移行経路の一つに脳室脈絡叢が挙げられることが示唆された。 【LFによるモルヒネ耐性発現遅延効果とその作用機構の解明】6週齢マウスを用いてテールフリックテストを行ったところ、LFはモルヒネの鎮痛効果を相乗的に増強することが明らかとなった。また、モルヒネ単独投与では5日目に耐性が発現するが、LFとの併用により、耐性発現を9日目まで遅らせることが可能であった。さらにLFによる鎮痛増強効果は、オピオイド受容体拮抗薬であるNaloxone、神経型一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬である7-Nitroindazol、GC阻害薬であるMethylene Blueの前処置でいずれも消失したことから、LFは神経型NOSを特異的に活性化させ、産生されたNOがcGMP合成を増強することによって、内因性オピオイド作用を増強するものと考えられた。 【LFによる関節炎軽減作用】成熟ラットのFoot padにアジュバントを注射して作成したリュウマチ性関飾炎モデルにおいて、LFは関節の腫脹を軽減し、さらに疼痛も顕著に和らげた。これらの抗炎症効果の作用機構として、LFはIL-10産生を増強することによってTNFα産生を抑制することが明らかとなった。また、アジュバント投与前にLF処置することによって、顕著な抗炎症効果が得られたが、関節炎の慢性経過後にLFを投与してもある程度の軽減効果が得られたことから、LFは予防ならびに治療の双方に有効であることが証明された。
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Research Products
(6 results)