2005 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植の獣医学領域への適応に向けた基礎研究
Project/Area Number |
14360180
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (30171143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00137241)
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Keywords | イヌ / モノクローナル抗体 / 造血前駆細胞 / Tリンパ球 / 骨髄移植 / 移植片対宿主反応 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
1.イヌ骨髄中の造血幹(前駆)細胞の同定と特性の解析: 骨髄移植前のレシピエントのコンディショニング(造血抑制処置)に対する効果や骨髄移植後のレシピエントにおける造血機能の回復を判定するためには、造血幹(前駆)細胞の同定が必要である。この同定には(モノクローナル)抗体を用いる方法がもっとも特異性が高く、かつ簡便な方法であるが、現在、このような抗体は抗イヌCD34抗体を除いて作製されておらず、また、昨年度のわれわれの研究からCD34陽性細胞は、かならずしも造血前駆細胞ではないことが明らかとなった。そこで、本研究においては、昨年度の研究で確立した方法により分離したイヌ造血幹(前駆)細胞をマウスに免疫し、抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合させてハイブリドーマをクローニングすることにより、イヌ幹(前駆)細胞に対するモノクローナル抗体を作製試みた。その結果、イヌ多能性造血前駆細胞を特徴的に認識するモノクローナル抗体など、前駆細胞の同定に有用な数クローンを作製した。 2.イヌTリンパ球に対するモノクローナル抗体の作製と免疫抑制効果の検討: 移植片対宿主反応(GvHR)は、移植骨髄細胞に混入したドナー末梢血Tリンパ球によって、レシピエントの体細胞が攻撃され、結果としてレシピエントを死に至らしめるものである。このGvHRの治療には、ステロイドホルモンなどの免疫抑制剤が使われていたが、副作用が強く、効果も持続的ではないため、最近ヒトでは、抗Tリンパ球ガンマグロブリンが用いられ、効果が高いことが報告されている。そこで本研究では、イヌにおける新たな免疫抑制剤を得るため、イヌの末梢血から分離精製したTリンパ球をマウスに免疫して、Tリンパ球に対するモノクローナル抗体の作製を試みた。その結果、試験管内において、T細胞の免疫反応を抑制し、イヌの静脈内に注射した場合に、イヌ体内のT細胞を減少させることができるモノクローナル抗体を得た。
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Research Products
(1 results)