2003 Fiscal Year Annual Research Report
赤芽球系分化における膜骨格構築"ユニット工法仮説"の時空間分解分子機構論
Project/Area Number |
14360187
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
斉藤 昌之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (80036441)
前出 吉光 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40002084)
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系先端学際領域研究センター, 教授 (50166823)
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Keywords | 赤芽球系分化 / 赤血球 / 膜骨格 / バンド3 / アンキリン / 小胞輸送 / 小胞体 / 培養細胞 |
Research Abstract |
本研究は、赤芽球系細胞における赤血球膜骨格組み込みの"ユニット工法仮説"実証を目的とする。骨髄赤芽球系細胞、赤芽球系培養細胞を用い、遺伝子導入とタンパク質の生化学的・形態学的解析で以下の成果を得た。 ●赤芽球系培養細胞K562を用いて、膜骨格と相互作用する主要膜タンパク質、バンド3、グライコフォリンC、アンキリン、プロテイン4.1、ならびにそれらの変異体の安定発現系を構築し、細胞内局在と赤芽球分化誘導時の挙動や細胞分化・増殖に及ぼす影響を検討した。膜内在性であるバンド3とグライコフォリンCはともにER/Golgiを経て細胞膜に移行した。これらと膜骨格を連結すると考えられるアンキリンとプロテイン4.1も同様にERとGolgiに局在が認められ、これは赤芽球系分化誘導後にも変化しなかった。また、内因性のアンキリンやプロテイン4.1、さらにスペクトリンも主にER/Golgiに分布が認められた。したがって、膜骨格組み込みは赤芽球系細胞の細胞膜ではなく、ERで生じる現象であることが明らかになった。 ●同様の解析で、K562細胞におけるバンド3分子の恒常的発現により細胞増殖速度が約70%に低下すること、誘導剤による赤芽球系分化速度も低下する現象が見出された。しかし、誘導可能な赤芽球までのステージでは、細胞骨格タンパク質の局在や細胞形態に対する影響は認められなかった。 ●骨髄赤芽球系前駆細胞ではスペクトリン等の膜骨格タンパク質の合成とER/Golgiと思われる膜画分への移行がまず生じ、次いでバンド3等の合成と細胞膜での発現が観察された。膜骨格タンパク質の分布は脱核前後で急激に変化した。 以上のように、本研究からは、膜骨格タンパク質の組み込みが細胞内小器官の膜上で既に生じることが明らかになった。ただし、その細胞膜への移行がいわゆる小胞輸送による"ユニット"としてか否かを判別することは困難であった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tamahara, S.ら6名: "Non-essential roles of cysteine residues in functional expression and redox regulatory pathways for canine glutamate/aspartate transporter based on mutagenic analysis."Biochemical Journal. 367. 107-111 (2002)
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[Publications] Thongsong, B.ら7名: "Effects of insulin-like growth factor-I on maternal and fetal plasma amino acid levels in pregnant rats."Journal of Veterinary Medical Sciences. 64. 859-861 (2002)
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[Publications] Hanspal, M.ら5名: "Plasmodium falciparum cysteine protease falcilain-2 cleaves erythrocyte membrane skeletal proteins at late stages of parasite development."Blood. 100. 1048-1054 (2002)
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[Publications] Saito, K.ら6名: "In situ observation of mobility and anchoring of PKCβ in plasma membrane."FEBS Letter. 541. 126-131 (2003)
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[Publications] Hossain, M.A.ら6名: "Serum from dogs infected with Babesia gibsoni inhibits maturation of reticulocytes and erythrocyte 5'-nucleotidase activity invitro."Journal of Veterinary Medical Sciences. 65. 1281-1286 (2003)
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[Publications] Tahara, T.ら6名: "Heme positively regulates the expression of beta-globin at the locus control region via the transcriptional factor Bach1 in erythroid cells."Journal of Biological Chemistry. 279. 5480-5487 (2004)