2004 Fiscal Year Annual Research Report
老齢動物における痴呆関連遺伝子発現についての比較進化医学的研究
Project/Area Number |
14360188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
吉川 泰弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80109975)
上塚 浩司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60251419)
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Keywords | アミロイドβ / APP / コンピューター / 動物 / 脳 / マイクロアレイ / 老化 / 老人斑 |
Research Abstract |
イヌにおいてアミロイドβ(Aβ)とアミロイドβ前駆体タンパク質(APP)の脳以外の組織での発現を免疫組織化学法により検索した。Aβは脳以外の組織では検出されず、APPは消化管と副腎周囲の神経叢および肺の気管支上皮、肝内胆管、膵腺房上皮細胞、腸上皮細胞などの分泌上皮細胞の細胞質内に発現が認められた。腺上皮細胞におけるAPPの機能が推測された。 ヒトの神経系関連遺伝子マイクロアレイフィルター(東洋紡製)を用いてイヌの脳における遺伝子発現を網羅的に調べた。このフィルターに用いられている遺伝子群はヒトに由来するが、それらの塩基配列は動物種によらず比較的よく保存されている部分が用いられており、イヌの組織に対しても十分使用できた。その結果、老犬ではGFAPなど神経老化関連遺伝子の発現が増加していたが、APPの発現は変化しなかった。 セルオートマトンのプログラムを用いて、コンピューター画面内で老人斑を形成する研究(in silico simulation)を行った。各ピクセルの状態をオンかオフの2状態とし、オンをアミロイドβの脳組織内沈着に見立てた。このプログラムではあるピクセルの次の状態が隣接するピクセルの状態によって決定され、条件を変えることで形成されるオン-ピクセルの集合体(in silico老人斑)の形態が変化する。in silicoおよびin vivo 老人斑(実際の老人斑)の形態の比較にはフラクタル次元(FD)を用いた。その結果、ネコの老人斑は他の動物種と比較してFD値が低かった。これに対応するin silico老人斑の形成条件を考慮したところ、沈着したアミロイドの分解亢進が推測された。 本年度は本研究の最終年度にあたり、上記の成果を英文の論文としてまとめ、外国の専門雑誌に投稿した。
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Research Products
(2 results)