2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類が次世代の卵巣の機能と形態に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
14360194
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
代田 欣二 麻布大学, 生物科学総合研究所, 教授 (70147974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 輝雄 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (60151297)
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (80271360)
代田 眞理子 (財)食品薬品安全センター, 秦野研究所, 主任研究員
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Keywords | ダイオキシン類 / PCB / 内分泌撹乱化学物質 / 環境ホルモン / 卵巣 |
Research Abstract |
TCDDを幼若雌ラットに投与すると、性腺刺激ホルモンによる誘起排卵が抑制されることが報告されているため、PCB126も出生後の直接曝露により同様の影響を及ぼすのかどうかを検討した。実験では、24日齢のSD系雌ラットにコーン油、または160、320μg/kgのPCB126を経口投与し、投与後24時間にPMSG 5IUを皮下投与して、その約76時間後に排卵を検査した。一部の動物はPCB126投与時(0h)、6h、24h(PMSG投与時)、72hに解剖し、卵巣、肝臓、胸腺の各重量を測定した。さらに卵巣におけるCYP1A1、inhibin α、aromataseならびにFSH及びLHの各受容体mRNAsを定量した。排卵検査では新生黄体数を排卵数とした。その結果、肝臓及び胸腺の重量は、それぞれ24h、72hから対照群との間に有意差が認められ、また、卵巣には6hをピークとしてCYP1A1 mRNAの増加が認められことから、PCB126はPMSG投与前から卵巣に影響を及ぼしていることが明らかとなった。しかし、その他の遺伝子の発現動態や卵巣重量、そして排卵にはPCB126の影響が認められなかったこのことから、曝露時期および曝露期間が卵巣に及ぼす影響の有無に重要であると考えられた。またこの時期の大型の胞状卵胞はPCBの標的ではないことが示唆された。 また、幼若ラットの卵巣の顆粒膜細胞に発現する遺伝子の定量的解析へのlaser microdissection(LMD)法の応用を検討するため、LMD法により24日齢、雌のWister系ラットの卵巣の凍結切片上の卵胞(口径が300μm以上の健康な卵胞largeと口径が200μm以下で卵胞腔の形成されていない健康な卵胞small)から顆粒膜細胞層を採取し、そこに発現するチトクロームP450 aromataseおよびinhibinαサブユニットのmRNAを定量した。その結果、Inhibinα mRNA発現量は、largeとsmallの間で差を認めなかったが、largeにおけるaromatase mRNAはsmallのそれより著しく高かった。このことから、個々の顆粒膜細胞におけるinhibinα遺伝子の転写量は、卵胞の発育程度に関わらずほぼ一定であるのに対し、aromatase遺伝子の転写は、既報のように卵胞の発育に伴って亢進することが示唆され、卵胞における遺伝子発現の定量にLMD法が有用であることが確認された。
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Research Products
(1 results)