2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来電解質多糖のキレートおよびゲル形成を利用した新規磁性機能材料の創製
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14360201
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西尾 嘉之 京都大学, 農学研究科, 教授 (00156043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 まり子 京都大学, 農学研究科, 講師 (30220594)
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Keywords | 植物バイオマス / 多糖 / 金属イオン / ゲル / ナノ複合体 / 磁性機能材料 / メゾスコピック構造 / 電磁光学機能 |
Research Abstract |
植物由来多糖の金属イオンとの相互作用能およびゲル形成能を利用して、多糖マトリックス内に鉄酸化物が微分散した有機/無機ナノハイブリッド磁性材料の新規合成と特性解析を行うとともに、関連した電磁機能を発現する多糖/無機イオン複合系のメゾスコピック構造特性についても検討した。主要な成果をまとめると以下の通りである。 1.カラギーナンをベースとした磁性複合材料の作製と特性解析 ι-およびκ-カラギーナン水溶液を出発に、(1)FeCl_2/エタノール/水溶液への多糖ゲル浸漬による鉄イオンのインターカレーション、(2)NaOH溶液処理による部分的イオン交換と水酸化鉄生成、(3)過酸化水素処理によるin-situ酸化鉄合成の各プロセスを経て、磁性粒子を内包したカラギーナンゲルを作製しえた。特に、段階(1)における浸漬鉄塩濃度と(1)〜(3)の繰り返し処理回数を変化させて、最終試料の内部構造と磁化特性の解析を行った。SQUID磁束計による磁化特性評価の結果、ほとんどの試料(乾燥ゲル)は室温で超常磁性、低温域で強磁性を発現すること、その転移温度は調製条件に応じて変化すること等が判明した。電顕観察により、ゲル内部は数十nm径の繊維状構造体の粗密集合形態をとっていること、および、その繊維状構造体の内部および表面近傍に鉄酸化物がナノ分散していることが明らかとなった。また、合成した鉄酸化物は、上記プロセスの1回処理では主にδ-FeOOHであり、2回以上の処理では主にFe_3O_4 and/or γ-Fe_2O_3であることをX線回折測定から確認した。 2.セルロース誘導体/無機イオン複合系のメゾスコピック構造特性と電磁機能 水溶性セルロースエーテル誘導体の下部完溶温度(LCST)は、アルカリ金属等の塩の共存によって鋭敏に変化し、多糖(側)鎖とイオンとの相互作用の態様・程度によって水溶液の白濁・ゲル化が促進または阻害される。ヒドロキシプロピルセルロースの濃厚水溶液(液晶)および他ポリマーとIPNに複合化した架橋膜について、それらのメゾスコピック構造に及ぼすイオン性溶媒の効果を系統立てて整理すると共に、試料の色彩や透明度を刺激応答型で制御する電磁光学的機能化の成功例を蓄積し得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ryotarou Chiba: "Electrooptical Behavior of Liquid-Crystaline (Hydroxypropyl)cellulose/Inorganic Salt Aqueous Solutions"Macromolecules. 36・5. 1706-1712 (2003)
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[Publications] Yoshiyuki Nishio: "Electrolytic Polysaccharide/Synthetic Polymer Gels and Films Responsive to Magnetic Stimulation"Polymer Journal. (発表予定).
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[Publications] Kazuyuki Oya: "Preparation and Characterization of Magnetic Nanocomposites Composed of Carrageenan/Iron Oxides"Polymer. (発表予定).