2002 Fiscal Year Annual Research Report
中枢髄鞘形成抑制因子の解析-視神経強膜篩状板部の発生学的・比較解剖学的研究より-
Project/Area Number |
14370001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 芳郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20051584)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 一裕 国立生理学研究所, 教授 (00144527)
高山 千利 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60197217)
|
Keywords | 髄鞘形成 / 稀突起膠細胞 / 視神経 / 視神経強膜篩状板部 / 無髄神経 / 星状膠細胞 / グリア細胞 / 細胞分化 |
Research Abstract |
マウス視神経において神経節細胞からでた軸索は網膜の視神経線維層(ONL)、視神経乳頭部(OpP)など眼球内では髄鞘を持たず、眼球と視神経の境界部となる強膜篩状板部(LCS)を過ぎて視神経眼窩部(OrP)に至って髄鞘が形成される。このような特徴は、細胞体から出て間もない軸索起始部の直後から髄鞘形成が始まる一般的な中枢神経系ニューロンとは大きな差異を示す。本研究では、マウス視神経の強膜篩状板部を中心としたグリア細胞構築の形成過程を、髄鞘形成の過程を踏まえて、生後0、3、5、7、14、21、28日齢及び3ケ月齢(本文ではP0、P3、P5、P7、P14、P21、P28、M3と各々表す)及び胎生14、15、17、19日齢(本文ではE14、E15、E17、E19、と各々表す)のマウス(C57BL/6J strain)を用いて、以下の方法で検討した。エポン包埋した資料の光学顕微鏡及び電子顕微鏡による形態学的な検索、星状膠細胞のマーカー分子であるglial fibril acidic protein (GFAP)、グルタミン酸トランスポータGLAST、brain lipid binding protein (BLBP)の免疫組織化学的な検索、稀突起膠細胞のマーカー分子であるproteolipid protein (PLP)のin situハイブリダイゼーション法による解析、5-bromodeoxyuridine (BrdU)標識法による細胞増殖の解析、ゴルジ鍍銀法によるグリア細胞の全体像の解析、を行った。これによりLCS及び眼球内部で髄鞘が形成されない要因を解析した。 その結果、間脳側から分化移動してくる稀突起膠細胞がLCSに達する時期より早く星状膠細胞からなる特別の構築を持つLCSが形成完了することで、稀突起膠細胞の侵入を妨げ、その結果として髄鞘が形成されないことが示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 井上 芳郎: "Distal extension of climbing fiber territory and multiple innervation caused by aberrant wiring to adjacent spiny branchlets in cerebellar Purkinje cells lacking glutamate receptor delta 2"J Neurosci. 22・19. 8487-8503 (2002)
-
[Publications] 井上 芳郎: "Vav3 is regulated during the cell cycle and effects cell division"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 99・7. 4313-4318 (2002)
-
[Publications] 井上 芳郎: "Development of astrocytes in the lamina cribrosa sclerae of the mouse optic nerve, with special reference to myelin formation"Okajimas Folia Anatomica Japonica. 79・5. 143-158 (2002)