2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管の緊張異常を制御する新規の細胞内シグナル分子の同定とその情報伝達機構の解明
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14370014
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 誠 山口大学, 医学部, 教授 (80225515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最上 紀美子 山口大学, 医学部, 助手 (80263771)
岸 博子 山口大学, 医学部, 講師 (40359899)
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Keywords | 血管平滑筋 / 血管異常収縮 / カルシウム非依存性収縮 / Rhoキナーゼ / スフィンゴ脂質 / 細胞内シグナル伝達 / エイコサペンタエン酸 / Srcファミリーチロシンキナーゼ |
Research Abstract |
血管病(心筋梗塞や脳卒中)は、合計するとその死亡者数は、ほぼ悪性腫瘍とならんでいる。これらの血管病において認められる血管異常収縮の原因として、血管平滑筋のCa2+非依存性の異常収縮が注目されている。従って、このCa2+非依存性の異常収縮を引き起こすメカニズムとその原因分子を解明することによって、血管病の予防法や治療法を開発することが、国民衛生上の緊急・最重要課題である。 本研究では、脳と心臓という重要臓器を栄養している血管(脳血管、冠動脈)を用いて、血管の異常収縮を引き起こす細胞内シグナル伝達を解明する事を目的とする。初年度は、血管異常収縮を引き起こす原因分子としてスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を同定し、さらに、その細胞内シグナル伝達メカニズムを解析し、SPCは、血管平滑筋細胞の中の2つの酵素、SrcファミリーチロシンキナーゼとRhoキナーゼを、この順番で活性化することによって、血管平滑筋の異常収縮を引き起こす事を見出した。本年度は、下記のような成果を得た。 1)Srcファミリーチロシンキナーゼの酸素活性を阻害する試薬、あるいは、酵素の細胞膜移動を阻害する脂質(エイコサペンタエン酸(EPA))は、SPCによる血管異常収縮を抑制すると共に、SPCによる蛋自質チロシンリン酸化を阻害した。 2)血管平滑筋において、SPC刺激によって、異常収縮の時間経過と共にチロシンリン酸化レベルが変化する蛋白質群を見出した。 3)上記の1)と2)の結果から、2)で見出された蛋白質群の中から、血管病の原因シグナル分子を伺定するために、その蛋白質のチロシンリン酸化レベルの変化が、Srcファミリーチロシンキナーゼ阻害薬やEPAによって阻害される蛋白質を数個見出した。 これらの成果により、Srcファミリーチロシンキナーゼの下流に存在するシグナル分子群を抽出することが出来た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岸 博子: "エイコサペンタエン酸(EPA)による血管攣縮の予防効果"月刊バイオインダストリー. 20巻. 5-13 (2003)
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[Publications] Adachi M: "Proteasome-dependent decrease in Akt by growth factors in vascular smooth muscle cells"FEBS Letters. 554. 77-80 (2003)
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[Publications] Yasukochi M: "Ca2+ and voltage dependence of cardiac ryanodine receptor channel block by sphingosylphosphorylcholine"Pflugers Arch Eur.J.Physiol.. 445. 665-673 (2003)