2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管の緊張異常を制御する新規の細胞内シグナル分子の同定とその情報伝達機構の解明
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14370014
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 誠 山口大学, 医学部, 教授 (80225515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 博子 山口大学, 医学部, 講師 (40359899)
最上 紀美子 山口大学, 医学部, 助手 (80263771)
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Keywords | 血管平滑筋の異常収縮 / 質量分析 / カルシウム非依存性収縮 / Rhoキナーゼ / スフィンゴ脂質 / 細胞内シグナル伝達 / RNA干渉 / Srcファミリーチロシンキナーゼ |
Research Abstract |
血管病(心筋梗塞や脳卒中)は、合計するとその死亡者数は、ほぼ悪性腫瘍とならんでいる。この血管病において認められる血管異常収縮の原因として、血管平滑筋のカルシウム非依存性収縮が注目されている。 本研究では、この血管異常収縮(カルシウム非依存性収縮)を引き起こす細胞内シグナル分子を同定し、さらにその情報伝達機構を解明することを目的とする。 初年度は、血管異常収縮を引き起こす原因分子としてスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を同定し、さらに、その細胞内シグナル伝達機構を解析し、SPCは、血管平滑筋細胞の中の2つの酵素、SrcファミリーチロシンキナーゼとRhoキナーゼを、この順番で活性化する事によって、血管の異常収縮を引き起こす事を見出した。さらに、次年度は、Srcファミリーチロシンキナーゼ(Src-TK)の下流のシグナル伝達経路を解析するため、SPC刺激によるチロシンリン酸化レベル変化に注目し、Src-TKの下流に存在するシグナル分子郡を抽出することに成功した。 これらの所見をふまえて、本年度は、下記のような成果を得た。 1.血管平滑筋細胞の培養細胞系において、SPCによる収縮を検討できる実験系を見出した。 2.Srcファミリーチロシンキナーゼに属するどの酵素がSPCによる異常シグナル伝達に関与しているか確定するために、RNA干渉によって目的とする酵素を特異的にノックダウンさせた培養血管平滑筋細胞を用いて、SPCによる収縮反応を検討した。その結果、siRNAによってFynをノックダウンさせると、SPCによる収縮が著明に抑制される事を見出した。 3.次年度で、見出された抽出されたシグナル分子郡の中で、特にチロシンリン酸化レベルの変化が著明なものに注目し、タンデム型質量分析計を用いて、p200を同定した。 これらの結果により、SPCが引き起こす血管の異常収縮の細胞内シグナル分子として、Fynを同定した。また、SPC刺激によって活性化されたFynは、p200などの下流のシグナル分子をチロシンリン酸化する事によって、血管の異常収縮を引き起こすものと考えられた。
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Research Products
(2 results)