2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動による糖、脂質およびアミノ酸代謝改善効果のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14370022
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30162738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (10252305)
長崎 大 愛知学院大学, 心身科学部, 助手 (30387568)
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Keywords | 分岐鎖アミノ酸代謝 / BCKDH複合体 / BCKDH kinase / グルコース代謝 / PDH複合体 / PDH kinase / 性差 / OLETFラット |
Research Abstract |
本年度の研究では、ラットを実験動物として用い、分岐鎖アミノ酸代謝の調節機構の基礎的メカニズムとして、分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)複合体およびその酵素を調節するBCKDH kinaseの活性調節機構を検討し、さらにグルコース代謝を調節する酵素であるピルビン酸脱水素酵素(PDH)複合体とその酵素を調節するPDH kinaseの活性調節機構を検討した。その結果、以下の所見を得た。 (1)ラット肝臓のBCKDH複合体活性には性差があり、雌では夕方(摂食前)にかなり低い活性を示す日内リズムを示すが、雄ではこのような日内リズムは小さい。この雌ラット肝臓の日内リズムは、BCKDH複合体をリン酸化して不活性化するBCKDH kinaseにより生み出されており、kinase活性が夕方に高くなることに起因している。雌ラットより卵巣を取り除くと、これらの日内リズムは消失し、さらに女性ホルモンであるエストロゲンを投与するとkinase活性の上昇とBCKDH複合体活性の低下が観察された。よって、BCKDH複合体活性の日内リズムは、エストロゲンによるkinase活性の調節により生み出されていることが示唆された。 (2)腫瘍壊死因子α(TNFα)は分岐鎖アミノ酸代謝を促進することが知られている。ラット肝臓のBCKDH kinaseは、BCKDH複合体に結合する結合型と結合していない遊離型が存在するが、ラットにTNFαを投与すると、結合型kinase量の有意な減少、kinase活性の同様な低下、およびBCKDH複合体活性の増加が観察された。よって、TNFαによる分岐鎖アミノ酸代謝の促進は、結合型kinaseの減少に起因することが示唆された。 (3)2型糖尿病モデルであるOLETFラットの骨格筋のPDH複合体活性は、糖尿病が発症する前(8週齢)から低値を示し、グルコース代謝が抑制されていることが認められた。このPDH複合体活性の低下は、PDK kinase4とPDH phosphatase 1の発現増加を伴っていた。よって、そのラットのグルコース代謝の抑制はPDH複合体活性の調節に起因することが示唆された。
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Research Products
(4 results)