2003 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン反応性に見られる脳の性差の細胞生理学基盤の解明
Project/Area Number |
14370025
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
加藤 昌克 日本医科大学, 医学部, 助教授 (90143239)
濱田 知宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (90312058)
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Keywords | エストロゲン受容体 / プロモーター / トランスジェニック / EGFP / 内側視索前野 / 分界条床核 / 免疫組織化学 / 膜受容体 |
Research Abstract |
ラットエストロゲン受容体(ER)αの脳内発現の部位特異性を検討する目的で、マウスのプロモーターAに相当する位置にあるラットERα遺伝子2.1kbの塩基配列0/A (GeneBank Map no.2336-4436)とより上流のプロモーター0/B (GeneBank Map No.1-2186,2.2kb)のそれぞれに、ウサギβグロビンの第2イントロンをはさんでDSRed (4.2kb)とenhanced green fluorescent protein (EGFP,4.1kb)の遺伝子(共にクローンテック社)を結合し、ポリAサイトを付加したトランスジーンを作成し、ワイエスニューテクノロジー社(石橋町、栃木)に委託して2つのトランスジーンを同時にラット受精卵に注入し、サザンブロットで双方が導入されたトランスジェニック動物22匹を確認した上で、蛍光強度を指標に系統選抜を行った。0/A配列は、プロモーターとして動作しておらず、出生当日から49日令の成熟個体に至る発達段階の何れの時期においても脳、全身臓器にDsRedの発現は見られなかった。一方、EGFPは脳内の複数の部位に発現し、たとえば11日令では大脳皮質第2、5層、海馬歯状回など、内側視索前野、分界条床核などに強い蛍光を認めた。中等度の蛍光が中脳中心灰白質、視床下部前野、不確帯、扁桃核に見られた。視床下部腹内側核や弓状核での蛍光発現は少数の細胞に限られていた。固定後の同一切片におけるERα抗体による免疫組織化学的染色の結果と比べると、内側視索前野の特に尾側や分界条床核では56%の蛍光標識ニューロンに抗原性が共存した。分布パターンの一致は扁桃核内側部や中脳中心灰白質でも顕著であった。視床下部腹内側核と弓状核では免疫陽性細胞の一部のみが蛍光発色を示した。この時期の大脳皮質では免疫活性があり、海馬での蛍光発現も従来の我々の免疫組織学に基づく観察よりも多数であった。一方、免疫活性が全く認められない視床腹部の一群の細胞群に蛍光発色が認められた。明年度以降これらのEGFPタンパクの発現が非特異的なものか、これらの細胞でのERαの抗原提示が低いため、免疫組織化学的に検出できないかについて検討する。また、膜のカベオラ構造に発現し、少なくともリガンド結合部位についてはERαと高い相同性を保っているという新奇のERなど、エストロゲンの膜受容体についてもさまざまな議論があり、本トランスジェニックラットを用いて検討を加える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Watanabe M, Sakuma Y, Kato M: "High expression of the R-type voltage-gated Ca^<2+> channel and its involvement in Ca^<2+>-dependent GnRH release in GT1-7 cells."Endocrinology (Published on the Web on January 21,2004). doi:10.1210/en.2003-1257 (2004)
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[Publications] Kato M, Ui-Tei K, Watanabe M, Sakuma Y: "Characterization of voltage-gated calcium currents in gonadotropin-releasing hormone neurons tagged with green fluorescent protein in rats."Endocrinology. 144(11). 5118-5125 (2003)
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[Publications] Parhar IS, Soga T, Ogawa S, Sakuma Y: "FSH and LH-beta subunits in the preoptic nucleus : Ontogenic expression in teleost."General and Comparative Endocrinology. 132(3). 369-378 (2003)
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[Publications] Parhar IS, Ogawa S, Hamada T, Sakuma Y: "Single-cell real-time quantitative PCR of immunofluorescently identified neurons of GnRH subtypes in cichlid fish."Endocrinology. 144(8). 3297-3300 (2003)
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[Publications] Parhar IS, Sato H, Sakuma Y: "Ghrelin gene in cichlid fish is modulated by sex and development."Biochemical and Biophysical Research Communications. 305(1). 169-175 (2003)
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[Publications] Ohnishi H, Kondo Y, Sakuma Y: "Oestrogen-induced vigorous mounting in female rats carrying hypothalamic knife cuts."Journal of Neuroendocrinology. 15(6). 602-606 (2003)