2004 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン反応性に見られる脳の性差の細胞生理学基盤の解明
Project/Area Number |
14370025
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昌克 日本医科大学, 医学部, 助教授 (90143239)
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
濱田 知宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (90312058)
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Keywords | エストロゲン受容体 / プロモーター / トランスジェニック / EGFP / 内側視索前野 / 分界条床核 / 免疫組織化学 / 膜受容体 |
Research Abstract |
ラットエストロゲン受容体(ER)αの脳内発現の部位特異性を検討する目的で、ラットERα遺伝子のプロモーター0/B(GeneBahk Map No.1-2186,2.2kb)に、ウサギβグロビンの第2イントロンをはさんでenhanced green fluorescent protein(EGFP,4.1kb)の遺伝子(クローンテック社)を結合し、ポリAサイトを付加したトランスジーンを作成し、ラット受精卵に導入してトランスジェニック系統を樹立した。EGFPは大脳皮質第2、5層、海馬歯状回など、内側視索前野・分界条床核に発現した。視床下部腹内側核や弓状核での蛍光発現は少数の細胞に限られていた。内側視索前野や分界条床核では56%の蛍光標識ニューロンが免疫組織化学的にERαタンパクを発現していた。蛍光と免疫陽性ニューロンの分布は扁桃核内側部や中脳中心灰白質でも一致した。視床下部腹内側核と弓状核では免疫陽性ニューロンの一部が蛍光発色を示した。これらの結果から、ERαタンパクの発現制御に関わるプロモーターには脳部位特異的な使い分けがあり、プロモーター0/Bは内側視索前野や分界条床核で作動すると結論した。生理学的意義を卵巣摘除とエストロゲンの投与に対する反応性から調べた。周知のように、雌ラット脳内ERαタンパクの発現は血中エストラジオール濃度による調節のもとにあり、血中ホルモン濃度の減少によりERαタンパク発現が上昇し、血中ホルモン濃度が上昇するとERαタンパク発現が減少する。この現象はエストロゲンの下垂体性腺刺激ホルモンに対するネガティブフィードバックの基盤と考えられているが、我々のトランスジェニックラットでは内側視索前野と分界条床核におけるEGFPの発現量が同様の変化を示したので、これらの部位のニューロンがこの現象に関わると結論し、Hamada T et al.,Visualizing forebrain-specific usage of an estrogen receptor α promoter for receptor down regulation in the ratと題して投稿、審査中である。
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Research Products
(6 results)