2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 武 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (60251055)
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Keywords | オレキシン / 覚醒 / ナルコレプシー / アセチルコリン / セロトニン / 適応行動 |
Research Abstract |
オレキシン神経は、視床下部外側野に局在しているが、脳幹のコリン作動生神経やモノアミン神経に投射し、これらの神経系を制御することによって睡眠・覚醒のステージの安定性を維持していると考えられている。われわれは、オレキシン神経の制御メカニズムを解明することを目的に2種のトランスジェニックマウスをもちいた解析を行った。前年度、オレキシン神経に特異的にenhanced green fluorescent protein(EGFP)を発現するトランスジェニックマウス(orexin/EGFPマウス)を用いて、オレキシン神経は、細胞外グルコース濃度によって活性が変化し、また、グレリンによって活性化、レプチンによって抑制されることを報告し、栄養状態によってオレキシン神経の活動は変化し、摂食行動・覚醒を制御していることを証明した。さらにorexin/EGFPマウスを用いて、オレキシン神経は、セロトニンやノルアドレナリンによって抑制されること、一部はアセチルコリンによって活性化されることが明らかになった。本年度は、オレキシン神経がセロトニンによって抑制される機構を詳細に解析し、5HT1A受容体およびGIRKが関与していることを示した。 また、ヒトオレキシンオレキシンプロモーターをもちいて、破傷風毒素の断片を逆行性のトレーサーとしてオレキシン神経に発現させることによりオレキシン神経の入力系を明らかにすることができた。オレキシン神経は、前脳基底部のコリン作動性神経による興奮性入力、視索前野からのGABA作動性の抑制性の入力を受けていることが明らかになった。また、縫線核のセロトニン神経からも抑制性の入力を受けていた。摂食に関与する部分では視床下部の弓状核、脳幹の孤束核からの入力をうけており、オレキシン神経は、情動・覚醒の制御系と、エネルギー恒常性の制御系からの調節を受けていることがあきらかになった。
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Research Products
(4 results)