2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来細胞分化誘導因子の作用機構解明とG_1早期選択的抗腫瘍薬開発への応用
Project/Area Number |
14370034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹栗 俊之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30261209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 富美 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50274436)
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Keywords | 増殖抑制 / がん / サイクリンD1 / 細胞周期 |
Research Abstract |
Differentiation-inducing factor(DIF)は細胞性粘菌Dictyosteliumが分泌する化学物質で、粘菌の分化を誘導する物質として単離され構造が決定されたが、最近の研究から哺乳類の腫瘍細胞や血管平滑筋細胞にも分化誘導・増殖抑制作用を持つことが明らかとなっている。我々はDIFの細胞増殖抑制効果の作用発現機構について検討を行なった。 DIFは濃度依存性にHeLa細胞の増殖を抑制し、これはサイクリンD1の分解促進・mRNA発現抑制による細胞周期拘束のためであると思われた。また、DIFはglycogen synthase kinase-3β(GSK-3β)を活性化することによりこの作用を発揮していることが示唆された。DIFによるサイクリンD1のmRNA発現抑制作用の詳細について検討したところ、この作用はβ-カテニンの分解促進によって、サイクリンD1のプロモーター活性が阻害されることにより引き起こされることが明らかとなった。また、サイクリンD1の変異体を作製し、それらに及ぼすDIFの効果を検討したところ、サイクリンD1の286位のThrのリン酸化がDIFによるこのタンパク質の分解促進に大きな役割を果たしていることが明らかとなった。 さらに、DIFの作用機構を検討したところ、この物質がmitogen-activated protein kinase(MAPK)シグナル伝津系にも作用することが明らかとなった。この結果からGSK-3βの活性調節機構について研究を行い、GSK-3βの活性調節に必要なこのタンパク質の216位のチロシンのリン酸化が、mitogen-activated protein kinase kinase(MEK)によって行われることを見出した。
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Research Products
(2 results)