2004 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳障害におけるシグナル伝達セラピーの創薬科学研究
Project/Area Number |
14370035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福永 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90136721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 二郎 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (10295131)
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20295140)
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
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Keywords | 脳虚血 / 脳保護薬 / 神経細胞死 / 脳浮腫 / カルモデュリン / 一酸化窒素 / 中大脳動脈閉塞モデル / バナジウム |
Research Abstract |
本研究では新規脳保護薬として開発されたDY-9760eの虚血に伴う脳浮腫の抑制効果とそのメカニズム、同様に脳保護薬として開発中の新規バナジル誘導体の治療有効時間域を明らかにすることを目的として、次のような新しい知見を得た.マイクロスフェア脳塞栓モデルラットの脳内で虚血後24-48時間において内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)が誘導されることを見出した。eNOSの発現は脳毛細血管内皮細胞において顕著であり、その発現の増大は障害のマーカーである蛋白質ニトロチロシン化反応の上昇と一致していた。さらに、蛋白質ニトロチロシン化反応の上昇は活性型カスパーゼの発現と一致しており、eNOSの発現によって、脳毛細血管内皮細胞が障害されることを示唆していた。DY-9760e(25mg/kg)の投与はeNOSの発現は抑制しないにも関わらず、血管内皮における蛋白質ニトロチロシン化反応を完全に抑制した。同じ投与量において虚血に伴う脳浮腫を著しく改善したことから、DY-9760eは血管内皮細胞でのNO産生とそれに伴う蛋白質ニトロチロシン化反応抑制することにより、血液脳関門の破綻を抑制して、脳浮腫を改善することが示された。次に、ラット中大脳動脈閉塞モデルを用いて新規バナジウム化合物(VO(OPT))の治療有効時間域について検討した。虚血・再灌流後30分までの末梢投与で有効であることが確認できた。また、プロテインキナーゼであるAktを活性化することによってアポトーシス実行因子であるFasリガンドの発現を抑制することがVO(OPT)の脳保護作用のメカニズムのひとつであることが確認できた。
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Research Products
(10 results)