2002 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼSykの制御機構と新しい機能の探索
Project/Area Number |
14370044
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山村 博平 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90030882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定 清直 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10273765)
柳 茂 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60252003)
|
Keywords | Syk / 蛋白質リン酸化反応 / 蛋白質チロシンリン酸化反応 / 非受容体型チロシンキナーゼ / 細胞接着 / 酸化ストレス / 細胞骨格 / ユビチキン・プロテアソーム |
Research Abstract |
私共の研究室で10年前に発見された非受容体型チロシンキナーゼSykは血液免疫系細胞・上皮細胞・内皮細胞において、細胞の増殖・分化・癌の抑制機構において重要な役割を持つことが、私共の研究により明らかになっている。本年度はチロシンキナーゼSykの新しい機能の探索を目指し、以下の4つの展開が得られた。 1)細胞増殖・細胞接着におけるSykの役割:培養細胞(ヒト巨核芽球系白血病細胞株CMK)をTPAにより分化誘導する系において、膜骨格分画において2段階のMEK1-ERK1/2の活性化を認めた。またSykが関与する巨核球様の分化には継続的かつ細胞接着依存性のMEK1-ERK1/2の活性化が必須であることを解明した。今後は癌組織とSykとの因果関係について研究を継続する予定である。 2)酸化・浸透圧ストレスによるシグナル伝達系路でのSykの役割:Sykがセリン・スレオニンキナーゼであるγ-PAKと会合し、活性制御を受けていること、下流の分子であるJNKの活性化を正に制御していることを解明した。 3)血管新生の分子機構におけるSykの役割:癌伸展にともなう血管新生機構について、特に細胞骨格について解析を行った。本年度はまず神経系において抗Syk抗体との交差反応により発見された、新規蛋白質CRAMと結合する蛋白質として、チロシンキナーゼFesと新規GTPaseを同定し、セマホリンのシグナル伝達や微小管動態の調節、ミトコンドリアの機能制御への関与について明らかにした。次年はSyk欠損マウスを用いてこれらの新規蛋白質とSykとの因果関係について解析を進める予定である。 4)ユビキチン・プロテアソーム系におけるSykの役割:Sykの会合蛋白質であり基質であるユビキチンリガーゼc-Cb1、Cb1-bがチロシンキナーゼSyk、Lynとの会合し活性調節を行っていることを明らかにした。特に膜結合型Cb1-bが、感作されたマスト細胞の抗原による活性化を負に制御している結果が得られ、次年度更に発展させる予定である。また別のSyk結合蛋白質3BP2が、マスト細胞活性化を正に制御することを見出した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Mitsui, N.: "Involvement of Fes/Fps tyrosine kinase in Semaphorin3 A signaling"EMBO J.. 21(13). 3274-3285 (2002)
-
[Publications] Sada, K.: "Regulation of FcεRI-mediated degranulation by an adaptor protein 3BP2 in the rat basophilic leukemia RBL-2H3 cells"Blood. 100(6). 2138-2144 (2002)
-
[Publications] Mizutani, C.: "Sustained activation of MEK1-ERK1/2 pathway in membrane skeleton occurs dependently on cell adhesion in megakaryocytic differentiation"Biochem Biophys Res. Commun.. 297(3). 664-671 (2002)
-
[Publications] Gao, S.: "A novel phenoxazine derivative suppresses surface IgM expression in DT40 B cell line"Brit. J. Pharmacol.. 137(6). 749-755 (2002)
-
[Publications] Sada, K.: "Protein-tyrosine kinases and adaptor proteins in FceRI-mediated signaling in mast cells"Curr. Mol. Med.. 3(1). 85-94 (2003)
-
[Publications] Takahashi, S.: "Isolation and expression of a novel mitochondrial septin that interacts with CRMP/CRAM in the developing neurons"Genes Cells. 8(2). 81-93 (2003)