受容体欠損マウスを用いた心血管系におけるプロスタノイドの役割の解明

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14370049
• Research Institution: Asahikawa Medical College
• Principal Investigator: 牛首 文隆 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50243035)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤野 貴行 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70322914) ; 結城 幸一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80302420) ; 原 明義 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90164988)
• Keywords: プロスタノイド / プロスタグランジン / トロンボキサン / 心臓 / 血管 / 虚血・再潅流

Research Abstract

プロスタノイドは、生体内において非常に多彩な作用を示す生理活性脂質である。また、多種類のプロスタノイド受容体が、心臓、血管、血小板など心血管系の臓器・組織に多く発現している。従来、プロスタノイドの循環器系での作用として血圧の調節、臓器血流量の調節、動脈硬化の促進・抑制、血小板機能調節などが示唆されている。しかし、これらの作用が生理的・病態生理的にどの程度重要なのかは不明である。そこで本研究は、プロスタノイド受容体欠損マウスを用いた心血管系におけるプロスタノイドの役割解明を目的としている。
マウス心筋梗塞モデルにおいて、プロスタグランジン(PG)E_2受容体サブタイプEP_4欠損マウスでは、野生型マウスに比し、梗塞巣の有意な拡大が認められた。また、EP_4アゴニストの投与により、野生型マウスの梗塞巣の有意な減少が認められた。これらの結果、内因性PGE_2や外因性に投与されたPGE_2類似物質が、心筋の虚血・再潅流障害の防御に働くことが明らかとなった。また、培養血管平滑筋細胞を用い、その増殖や肥大におけるプロスタノイドの役割を明らかにし、報告した。
現在、PGI_2の心肥大や血管リモデリングでの役割、PGE_2のレニン分泌を介した血圧調節での役割、ある種のプロスタノイドによる心拍数調節など、新たな知見が得られつつある。今後、これらの解析によって、心血管系でのプロスタノイドのさらなる役割が解明されることが期待される。

Research Products

• [Publications] Fujino, T., Yuhki, K., et al.: "Effects of the prostanoids on the proliferation or hypertrophy of cultured murine aortic smooth muscle cells"Br.J.Pharmacol.. 136. 530-539 (2002)