2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死・生存の膜脂質シグナル伝達とそのクロストーク機構の解析
Project/Area Number |
14370064
|
Research Institution | GIFU INTERNATIONAL INSTITUTE OF BIOTECHNOLOGY |
Principal Investigator |
野澤 義則 (財)岐阜県国際バイオ研究所, 所長 (10021362)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50116852)
田中 雅嗣 (財)岐阜県国際バイオ研究所, 部長 (60155166)
赤尾 幸博 (財)岐阜県国際バイオ研究所, 部長 (00222505)
大口 健司 (財)岐阜県国際バイオ研究所, 研究員 (80359257)
|
Keywords | アポトーシス / ホスホリパーゼD / 生存シグナル / セラミド / ホスファチジルイノシトール3キナーゼ / Akt / ERK / スフィンゴシンキナーゼ |
Research Abstract |
アポトーシス誘導の細胞内情報伝達について特に膜脂質シグナリングネットワークの関与について検討した。前立腺がん細胞であるPC3細胞はカンプトテシン(CPT)耐性でアポトーシス誘導は見られないが、一方、LNCaP細胞はCPT感受性でアポトーシス誘導が起こることが知られており、両細胞におけるCPTによるアポトーシス誘導過程での脂質の変化を比較検討した。CPT処理によるアポトーシス誘導過程においてLNCaP細胞ではセラミド産生の増加が認められたが、PC3細胞では見られなかったことから、セラミド産生アポトーシス誘導との関連性が示唆されたが、フモニシンBでセラミド産生を抑制してもアポトートシスの抑制は見られないことから、セラミド産生はアポトーシス誘導に関与しないことが示唆された。 ホスホリパーゼD(PLD)の細胞機能における関与について検討を行い、PLDが増殖やがん化に関与することを示唆した。また、神経細胞(PC12細胞)の酸化ストレス(H2O2)の初期応答として著しいPLDの活性化が起こり、PLDの活性上昇がアポトーシス誘導を抑制することが示されており、Survivalシグナリングの意味とそのメカニズムを解析し、Pyk2/src/PI3K/Akt系が活性化されることを明らかにした。また、EGF受容体のtransactivationによるERK1/2活性化の関与は少なくないことも示された。 一方、スフィンゴシンキナーゼ(SPHK)によつて産生されるセカンドメッセンジヤーのスフィンゴシン1-リン酸(S1P)は特異的受容体を介して生存シグナリング系を作動されることが示されている。本研究ではヒト前立腺がん細胞株(アンドロゲン非感受性PC3細胞、感受性LNCaP細胞)についてSPHK1活性とタンパク発現量を調べ、前者細胞ではSPHK活性、タンパク量と共に後者細胞に比べ著しく増大していることを見出した。この結果は、PC3細胞が抗がん剤カンプトテシン(CPT)に対して抵抗性を示しアポトーシス誘導をきたさない一つの機構と考えられる。されにCPT処理によりSPHK活性上昇が起こることもPC3細胞のCPT耐性の要因であることを初めて見出した。 かくして、アポトーシス誘導脂質のセラミド、生存シグナル因子のPA (PLDにより産生)、S1Pの作動機構に複雑なクロストーク系が存在することが示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Chen, J.et al.: "The inhibitory effect of local anesthetics on bradykinin-induced phospholipase D activation in rat pheochromocytoma PC12 cells."Anesth.Analg.. 95. 88-97 (2002)
-
[Publications] Akao, Y.et al.: "Ceramide accumulation is independent of camptothecin-induced apoptosis in prostatae cancer LNCaP cells."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 294. 363-370 (2002)
-
[Publications] Banno, Y.et al.: "Hydrogen peroxide-induced phospholipase D activation and its PKC dependence are modulated by pH changes in PC12 cells."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 312. 1087-1093 (2003)
-
[Publications] Nakade, Y.et al.: "Regulation of sphingosine kinase 1 gene expression by protein kinase C in a human leukemia cell line, MEG-01."Biochim.Biophys.Acta. 1635. 104-116 (2003)
-
[Publications] Yamada, M.et al.: "Overexpression of PLD prevents actinomycin D-induced apoptosis through potentiation of P13K signaling pathways in Chinese hamster ovary cells."Biochem.J.. 378. 1-8 (2004)
-
[Publications] Ohguchi, K.et al.: "Involvement of phospholipase D1 inmelanogesisofmouse B16 melanoma cell."J.Biol.Chem.. 279. 3408-3412 (2004)