2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた糖尿病性合併症の成因の研究と遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
14370073
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
八木橋 操六 弘前大学, 医学部, 教授 (40111231)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 晋一朗 弘前大学, 医学部, 助手 (80301026)
黒滝 日出一 弘前大学, 医学部, 助教授 (40215108)
馬場 正之 弘前大学, 医学部, 助教授 (90106849)
和田 龍一 弘前大学, 医学部, 助手 (20260408)
|
Keywords | 糖尿病 / 細胞傷害機構 / 合併症 / 血管障害 / ニューロパチー / グリケーション / ポリオール代謝 / アルドース還元酵素 |
Research Abstract |
糖尿病性合併症の成因として、高血糖からの種々の代謝カスケードが組織細胞傷害を引き起こし、病変を形成することがいわれている。しかしながら、特徴的な病変がいかなる代謝過程から形成されるのかは知られていない。今回の研究では、代謝カスケードとして重要と考えられている。ポリオール代謝、グリケーションの2つに焦点をあて、それぞれ、ポリオール代謝の主要酵素であるアルドース還元酵素(AR)を過剰発現するトランスジェニックマウス(AR-Tg)、グリケーションの最終産物である後期糖化生成物(AGE)の受容体(RAGE)を過剰発現するトランスジェニックマウス(RAGE-Tg)をまず作成した。これらのマウスで高血糖状態下でヒト糖尿病類似の病変が惹起されるかを、形態学的、生化学的、生理学的に検討を加え、同時にそれぞれの阻害薬であるAR阻害薬(ARI)およびアミノグアニジン(AG)あるいはOPBを投与し、予防あるいは治療が可能であるかを検討した。結果として、AR-Tgは糖尿病期間8〜12週で、対照マウスに比して末梢神経、腎いずれでも高度のポリオール蓄積とともにより強い神経線維萎縮や腎糸球体腫大などの変化をみた。この過程にはNa, K-ATPase低下、PKC異常が関与し、とくに神経と血管ではPKC変化が低下、上昇と乖離した結果を示し、異なった機構が合併症病変成立に働いていることが明らかとなった。一方、RAGEマウスの検討では糖尿病状態で腎糸球体での強いメサンギウム領域増加がみられ、神経変化も強い傾向を示した。現在、これらのマウスについて生化学的、生理学的変化をさらに検索中である。AR阻害薬、AG, OPBいずれもこれらの病変を抑制する所見を認め、今後より有効な作用を有するものを検討する予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Soroku Yagihashi: "Diabetic microangiopathy : Pathology and current understanding of its pathogenesis"Verh Dtsch Ges Pathol. 86(1). 91-100 (2002)
-
[Publications] 八木橋 操六: "糖尿病性神経障害の病理ーここ10年間の新知見を中心にー"日本臨床. 60(suppl 10). 204-208 (2002)
-
[Publications] Ruichi Wada: "Intracytoplasmic immunoglobulin crystals in follicular lymphoma"Human Pathology. 33(11). 1141-1144 (2002)
-
[Publications] Yoshirou Kitahara: "Decreased blood glucose excursion by nateglinide ameliorated neuropathic changes in Goto-Kakizaki rats an animal model of non-obese type 2 diabetes"Metabolism. 51(11). 1452-1457 (2002)
-
[Publications] Takashi Imaizumi: "Interferon-gamma stimulates the expression of galectin-9 in cultured human endothelial cells"J Leukoc Biol. 72(3). 486-491 (2002)
-
[Publications] Hiroyasu Sakuraba: "Reduced beta-cell mass and expression of oxidative stress-related DNA damage in the islet of Japanese Type II diabetic patients"Diabetologia. 45(1). 85-96 (2002)
-
[Publications] 八木橋操六: "糖尿病合併症ーどう対処するかー"岩本安彦(中外医学社). 370 (2002)