2004 Fiscal Year Annual Research Report
多発性消化管ストローマ細胞腫瘍(GIST)家系の検索
Project/Area Number |
14370076
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
廣田 誠一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50218856)
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Keywords | GIST / c-kit遺伝子 / 機能獲得性の突然変異 / von Recklinghausen病 / NF1遺伝子 / イマチニブ |
Research Abstract |
我々は、ヒト消化管筋層に発生するGISTにc-kit遺伝子が高率に発現し、その多くにc-kit遺伝子の傍細胞膜領域の機能獲得性突然変異が存在することを世界に先駆けて見つけた。現在では、散発性GIST症例の約90%にはc-kit遺伝子の傍細胞膜領域・細胞外領域・チロシンキナーゼ領域I・チロシンキナーゼ領域IIのいずれかの部位に機能獲得性突然変異が見られることがわかっている。一方、germlineでのc-kit遺伝子突然変異は家族性多発性GISTを発生させる。これまでに傍細胞膜領域とチロシンキナーゼ領域Iでの突然変異が報告され、われわれは最近新たにチロシンキナーゼ領域IIにおける遺伝子異常を見つけ、この遺伝子異常も、KITのチロシンキナーゼ活性を恒常的に活性化させるもので、機能獲得性の突然変異であることを示した。 多発性GISTに関する研究として、GISTを多発するもう一つ病態であるvon Recklinghausen病(neurofibromatosis type 1)において、GIST症例のパラフィンブロック・新鮮凍結組織からgenomic DNAおよびRNAを抽出し、c-kit遺伝子の機能獲得性突然変異が見られるかどうかを調べた。その結果、von Recklinghausen病に見られるGISTにはc-kit遺伝子の機能獲得性突然変異が全く見られないことが分かった。逆にvon Recklinghausen病ではない患者に見られるGISTにおいて、von Recklinghausen病の原因遺伝子であるNF1遺伝子に突然変異がないかどうかを調べたところ、突然変異を検出できなかった。さらにGISTの増殖に関連して、分子標的薬イマチニブに耐性となった再増殖GIST病巣におけるc-kit遺伝子突然変異の検討を行い、原発巣にみられるc-kit遺伝子の他に、イマチニブ耐性に関与していると考えられる新たなc-kit遺伝子の突然変異が加わっていることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)