2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370085
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
浅井 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50175163)
田辺 将信 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
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Keywords | 赤痢アメーバ症 / Entamoeba histolytica / Emtamoeba dispar / 施設内感染 / 無症候性感染 |
Research Abstract |
わが国の諸種施設内における赤痢アメーバ感染に関して原因アメーバの生物学、あるいは感染の疫学的、臨床的研究を行い、下記の成果を得た。 (1)これまで継続して調査を行なっている1施設において、demographic backgroundの調査を行い、居住環境と共にデータベース化した。また今年度データベース化した対象について施設の同意のもとで糞便内の抗原定量検査と抗体検査を行い、何れも陰性化している事が確認された。臨床的な検索も行なったが、無症状のままで推移していることが判明した。これは以前行なった集団治療、環境衛生施策によるものと思われた。今後この集団について継続観察を行い、感染動態の解明を行なう予定である。また他の施設において抗原、抗体陽性の無症候性感染者を複数見いだしたので、持続感染に関する臨床免疫学的な検討を開始したが、従来当グループにて行なったイムノグロブリンサブクラスなどに検討結果との差は見られず、検索を継続して行なう。 (2)E. histolyticaの簡易迅速診断法としてdot-ELISAの評価を行なった。その結果特にアメーバ性の肝膿瘍に関してはPlate-ELISAと同等の結果が得られ、腸アメーバ症に関してもplate-ELISAと90%以上の一致率を示した。従って対象によっては信頼できる簡易迅速診断法として利用できることが明らかになった。この方法はまたE. dispar感染者では完全に陰性であり、免疫学的種同定法として疫学調査にも広く利用可能と思われた。 (3)アメーバの種同定のための免疫学的方法の開発を目的とし、非病原株であるE. disparの確実な抗原取得法の確率を行ってきているが、関連した無菌培養法の検討で、E. disparの増殖促進因子が明らかになった。特にクロストリジウムのフェレドキシンを還元剤で処理し-S-S-結合を破壊した標品、植物由来のクロロプラストをアセトンで処理して可溶化した標品を使用して複合体を作成した場合、この複合体が優れた増殖促進効果を持っていることを明らかにした。 (4)研究協力者である国立感染症研究所との共同研究でchitinase、serine-rich protein、Locus 1/2、Locus 5/6の遺伝子の塩基配列に基づいた遺伝的多様性解析方法を確立した。しかしこれは病原因子ではないので、現在アメーバの病原性と深く関係しているamebaporeとcysteine proteinaseの塩基配列に基づいた鑑別法の検討を開始した。 (5)アメーバのvirulenceを解析する方法がこれまでは動物を用いる方法が主流だったが、新しい蛍光色素を利用することで、組織培養系による評価方法を開発した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Dvorak JA, Takeuchi T et al.: "Induction of permeability changes and deaths of vertebrate cells is modulated by the virulence of Entamoeba spp. isolates"Parasitol Int. (in press).
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[Publications] Haghighi A, Takeuchi T et al.: "Remarkable genetic polymorphism among Entamoeba histolytica isolates from a limited geogranphic area"J Clin Microbiol. 40・11. 4081-4090 (2002)
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[Publications] Makioka A, Takeuchi T et al.: "Inhibition of excystation and metacystic development of Entamoeba invadens by the dinitroaniline herbicides oryzalin"J Parasitol. 88・5. 994-999 (2002)
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[Publications] Makioka A, Takeuchi T et al.: "Effect of proteasoiae inhibitors on the growth, encystation and excystation of Entamoeba histolytica and Entamoeba invadens"Parasitol Res. 88・4. 454-459 (2002)
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[Publications] 竹内 勤, 他: "寄生虫の院内(施設内)感染対策エビデンスに基づいた感染制御"メジカルフレンド社(印刷中).