2002 Fiscal Year Annual Research Report
国内発症Q熱症例の感染経路に関する研究(ペット及び食品由来伝播経路の解析)
Project/Area Number |
14370088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 彰 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (70220861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳江 豊 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80292275)
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Keywords | Q熱 / Coxiella burnetii / 感染経路 / 家畜 / ペット / エアゾル / PCR |
Research Abstract |
1)国外での重要なコクシエラ感染経路とされているウシの保菌調査を宮城県内で施行した。一般畜53頭+病畜140頭、合計193頭に関してコクシエラ抗体価の検査を主として試みたところ、全体の11.9%が抗体価32〜512倍と陽性を示していた。陽性頻度は病畜において13.6%、一般畜において7.5%と差が認められた。その他これらの一般畜、患畜から口腔スワブ、膣スワブ、乳汁、胎盤組織サンプルを適宜採取してPCR法あるいは分泌液中の抗体価を測定して動物周囲環境への排菌の評価を試みたところ、PCR、抗体価とも陽性例は血清抗体価高値例のなかの一部のみに確認された。また必ずしも血清抗体価が高いほどPCRが陽性化しやすいとは限らず、血清抗体価によって持続排菌の危険性を評価することは困難と考えられた。また排菌に関しては、おそらくは保菌動物であっても常に環境へのコクシエラの高濃度曝露が持続しているわけではなく、例えば妊娠を含むストレスが加わったときにのみ一過性の曝露が生じている可能性も十分考えられることから、今後は横断的な検討ばかりでなく抗体陽性の動物の排菌状況を長期間追いかけるような経時的変動に着目した検討が必要と考えられた。 2)イヌ、ネコなどのペットにおける保菌状況調査を、一般健常人に飼育されたペットと、急性Q熱症例やコクシエラ抗体価高値症例の接触動物とに区分してサンプルを蓄積中である。今のところ健常人の飼育ペットからは陽性例は見いだされてこず、患者群の接触動物のなかからは保菌動物がある程度見いだされてきている状況である。 3)その他の感染経路に関しては、やはり接触動物の不明なコクシエラ抗体価高値症例が確実に存在していることから経口感染などいくつかの可能性を想定して複数年度にわたっての解析を続行中である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 渡辺 彰: "Q熱肺炎の疫学、診断、治療"呼吸. 22・1. 45-49 (2003)
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[Publications] 高橋 洋: "Q熱呼吸器感染症サーベイランスの成績"感染と抗菌薬. 6. 118-119 (2003)
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[Publications] 高橋 洋, 渡辺 彰: "Q熱感染症"感染と抗菌薬. 5. 353-356 (2002)
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[Publications] 渡辺 彰: "特集『高齢者肺炎の予防と治療』, Short Topics, 高齢者のコクシエラ肺炎(Q熱)"Geriatric Medicine. 40. 1624-1626 (2002)
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[Publications] 高橋 洋, 渡辺 彰: "Q熱マクロライド薬の正しい使い方"臨床医. 28・5. 628-629 (2002)
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[Publications] 高橋 洋: "Q fever Molecular CPC"分子呼吸器病. 6・3. 71-73 (2002)
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[Publications] 高橋 洋, 渡辺 彰: "Q熱"小児科診療. 115・12. 115-119 (2002)
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[Publications] 高橋 洋, 渡辺 彰: "Q熱"感染症. 32. 11-12 (2002)
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[Publications] 徳江 豊 他: "今日の治療指針 2003(山口 徹・北原光夫総編集)3.感染症:Q熱"医学書院. 1605(138) (2003)
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[Publications] 高橋 洋, 渡辺 彰, 平井克哉: "病原菌の今日的意味 改訂第3版(松本慶蔵 編集)Q熱"医薬ジャーナル社. 728(672-680) (2002)
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[Publications] 高橋 洋 他: "日本臨床増刊 新世紀の感染症学 上巻 Q熱"日本臨床社. 825(505-510) (2002)