2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスによるグラム陽性球菌の病原因子発現の調節の解析
Project/Area Number |
14370090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 美智男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20111841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 忠男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10314014)
鳥居 啓三 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (80324440)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / A群レンサ球菌 / TAT蛋白 / スーパー抗原 / Bacillus cereus / ゲノム配列 / SEU / シグナルペプチダーゼ |
Research Abstract |
前年に引き続き黄色ブドウ球菌ならびにA群レンサ球菌について、病原因子としての各種菌体外毒素ならびに菌体外酵素であるプロテアーゼ、リパーゼ、ニュークレアーゼについて、2次元電気泳動およびLC/MS/MS、多次元LC/MSなどによる解析を行った。また近縁菌としてグラム陽性菌であるBacillus cereusの全ゲノム配列解析を行い、その遺伝子情報に基づいて上記のグラム陽性球菌類の遺伝子の比較を行い、DNAチップを作成することによって発現調節機構についても検討中である。 1.日本全国のMRSA株ならびに病院由来ではない黄色ブドウ球菌(MSSA)株400株について、23種の毒素遺伝子の分子疫学解析を行った。その結果、日本のMRSA株はTSST-1.SEC3,egc locusを持つ株が約90%と、極めてclonalityが高いことがわかった。菌株によるそれぞれの毒素蛋白の発現量の差について解析中である。さらにegcには新しいエンテロトキシン遺伝子SEUが存在し、菌株によって4種の構造変化を起こしていることがわかった。SEUを精製したところ、スーパー抗原活性が認められた。この毒素は疫学的に食中毒に関係している可能性がある。 2.黄色ブドウ球菌TAT蛋白は一部の毒素蛋白の分泌に関与する。各種のブドウ球菌でtat遺伝子保有するのは黄色ブドウ球菌とS. intermediusのみであり、他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌にはtat遺伝子が存在しない。したがってTATは病原性に関係すると考えられる。 3.A群レンサ球菌の分泌蛋白のほとんどはシグナルペプチドを持ち、シグナルペプチダーゼの作用を受けて分泌される。ゲノムデータベースから3種のシグナルペプチダーゼを見いだし、それぞれのノックアウト株を作成して機能の解析を行った。 4.B. cereus全ゲノム配列から、各種の調節に関与する遺伝子を検索した。その一部は黄色ブドウ球菌の調節に関与する遺伝子と相同性を持ち、機能の互換性がある可能性がある。これらの調節遺伝子について、機能を解析中である。
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Research Products
(12 results)