2004 Fiscal Year Annual Research Report
Toll-like receptorによるT細胞の活性化と感染防御機構での役割
Project/Area Number |
14370091
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉開 泰信 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90158402)
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Keywords | Toll-like receptor / γδT細胞 / 大腸菌 / ケモカイン / 好中球 / マクロファージ / Vδ1 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ショウジョウバエの発生に重要な蛋白として発見されたTollは、その後、植物から人間まで種をこえてその類似蛋白が存在し、細菌成分をパターン認識する膜貫通性蛋白であることが報告された。哺乳類では、Tollに類似した蛋白として、現在までに11個のToll like receptor(TLRが報告されており、それぞれのTLRが異なった微生物成分を認識すると考えられている。我々は上皮系γδ型Tリンパ球にTLRが発現することを見い出した。本年度では、TLRを発現するγδ型Tリンパ球の感染防御機構での役割を明らかにした。 C57BL/6マウスにEscherichia coli (ATCC26) 1x10^8CFUを腹腔内に感染させると、単一のVγ6/Vδ1TCR陽性T細胞が感染2日目から著しく増加した。Vδ1遺伝子欠損(KO)マウスは、野生型マウスに比べて感染後2日以降の腹腔内へのγδ型T細胞の増加がほとんど認められず、感染後3日目における腹腔内の菌の排除が悪かった。感染1日目の好中球の浸潤には差が認められなかったが、感染3日目のマクロファージの浸潤がVδ1KOマウスにおいて有意に低下していた。野生型マウスの感染で増加するγδ型T細胞を抗TCR抗体で刺激すると、IFN-γに加えてCCL3/MIP-1αおよびCCL5/RANTESの産生が見られた。一方、Vδ1KOマウスではこれらのサイトカインの産生は認められなかった。in vivoにおいてMIP-1αを中和するとマクロファージの減少および菌の排除能の低下が認められた。 非病原性大腸菌に対する感染防御には感染数時間後に浸潤する好中球と3日目までのマクロファージによる自然免疫が重要な役割を担う。今回の結果から、大腸菌感染による好中球浸潤後出現するVδ1陽性γδ型T細胞はCCケモカインを産生することによりマクロファージを集積させるということが明らかとなった。胎生早期に発生して子宮や舌の粘膜に多く存在するVγ6/Vδ1 T細胞は、自然免疫における好中級からマクロファージへの橋渡し的な役割りを果たすと考えられる
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Research Products
(10 results)