2004 Fiscal Year Annual Research Report
リステリア属細菌由来ヘモリシンのマクロファージ内活性発現の分子機構
Project/Area Number |
14370092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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Keywords | リステリア / マクロファージ / リステリオリシン / サイトカイン |
Research Abstract |
リステリア属細菌に由来するヘモリシン蛋白(リステリオリシンO:LLO)によるマクロファージ活性化、サイトカイン誘導の機構に関して研究を行い、以下の新たな成果が得られた。 1 LLOがマクロファージに誘導する各種Th1サイトカインの中で最も重要なIL-18は、LLOによる転写の誘導によるものではなく、IFN-β依存的にFas-FasLを介して起こるカスパーゼの活性化がIL-18の成熟をきたすことによるものであることが示された。 2 LLOはこれまで明らかにしてきた非細胞傷害型にみられるTLRを介したシグナルによるNF-κBの活性化とは別に、細胞死を起こさない低濃度の細胞傷害型では上皮系細胞の膜不安定化を起こす結果、Caイオンの流入を促し、Caイオン依存的なNF-κB活性化とそれに続くI1-6など炎症性サイトカイン産生を誘導することが明らかとなり、侵入門戸である非マクロファージ系腸管上皮細胞の応答に新たな知見を加えることができた。 3 昨年度の研究ではLLO遺伝子であるhlyを欠損させたΔhly株を作製し、正常なhly遺伝子をプラスミド性に保有させて実験を行った。本年度はさらに相同組換え法をhlyや関連遺伝子を染色体に組み込んだ株の作製に成功した。Hly遺伝子だけが異なるisogenicな菌株を用いた実験により、マクロファージ感染によりリステリアが誘導するIFN-γ誘導性サイトカインの産生刺激は、細胞質で菌が脱出することが必須であり、さらにLLOのN末端に依存することを証明することができた。さらにLLOが実際に細胞質へ注入されると同様のサイトカイン応答が誘導されることを、HVJエンベロープを用いた細胞質内タンパク導入法を確立して確認することができた。
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Research Products
(7 results)