2003 Fiscal Year Annual Research Report
レジオネラ属細菌の環境中および宿主内での生存適応戦略とその多様性の研究
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14370094
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 真一 九州大学, 医学研究院, 教授 (60128113)
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Keywords | レジオネラ / バイオフィルム / 細胞内寄生菌 / マクロファージ / DjlA / 2-deoxy-D-glucose |
Research Abstract |
1.バイオフイルム形成の分子遺伝学的解析 レジオネラ属細菌自身にバイオフィルム形成能があるかどうか、形成する能力はどの菌種が一番高いか、形成されるバイオフィルムの性質と、形成される条件について研究を行った。培養にはレジオネラ培養用液体培地であるBYE培地を用い、ガラス試験管にて本属菌を静置培養した。培養温度は25、30,37℃とし、液面及びガラス面に形成されるバイオフィルムを経時的に形態を観察した。レジオネラ38菌種50菌株のうちバイオフィルムを形成したのはL.pneumophila(血清群1〜11を調べた)のみで、その他の菌種は形成しなかった。形成されたバイオフィルムの性質は培養温度で異なっていた。25℃では多糖体マトリックスの中に短い本菌が生息し、ガラスへの付着能も強かった。一方、30、37℃では多糖体マトリックスは少なく、菌体が線維状に伸長して菌体自身で織物のようなバイオフィルムを形成し、繊維状の菌は多核であった。これらの新知見と成果は、"Temperature-regulated formation of mycelial mat-like biofilm by Legionella pneumophila"という論文としてまとめ、米国微生物学会誌Appl.Environ.Microbiol.に投稿中である。 2.細胞内増殖機序の多様性の研究 Legionella dumoffiiが細胞内で増殖するのに必要な遺伝子を解析した。トランスポゾン誘導変異によって、マウスのマクロファージ系株化細胞J774の中で増殖できない変異株を作成・選択した。変異株のうちの一株は、検索の結果、トランスポゾンがDjlA遺伝子中に挿入されていた。共焦点レーザ顕微鏡での解析により、本変異株はファゴソームとリソソームの融合を阻害できないことがわかった。DjlAは熱ショックタンパクDnaJファミリーの一員であり、DjlAが、レジオネラのみならず、細胞内寄生菌の細胞内増殖に重要であるとの最初の報告であり、DjlAの機能の解析が期待される。 3.2-deoxy-D-glucoseのマクロファージ内レジオネラ増殖抑制機序の解析 2-deoxy-D-glucoseはマクロファージ培養液中に添加すると濃度依存的に、マクロファージ内でのL.pneumophilaの増殖を抑制する事を見いだした。その機序を解明するためにマウスのDNAマイクロアレイを使って解析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ohnishi, H: "Legionella dumoffii DjlA, a member of DnaJ family, is required for intracellular growth"Infection and Immunity. (in press). (2004)
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[Publications] Seki, M.: "Hydrogen peroxide production in Streptococcus pyogenes : involvement of lactate oxidase and coupling with aerobic utilization of lactate"Journal of Bacteriology. (in press). (2004)