2002 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス血球凝集素上の著しいアミノ酸変化を許容する分子基盤の解析
Project/Area Number |
14370104
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中島 捷久 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40012778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 節子 国立感染症研究所, ウイルス第三室, 室長 (80124402)
飯塚 成志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30222821)
信澤 枝里 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90183904)
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Keywords | インフルエンザ / HA / ランダム変異 / アミノ酸変異地図 |
Research Abstract |
ウイルスは抗原性を変化させることによって宿主の獲得免疫による防御効果から逃れて繰り返し流行を起こしてきた。H3HA蛋白質の変異の可塑性を分子的に明らかにするため、HA蛋白質のすべてのアミノ酸部位に突然変異を導入してその機能変化を検討したアミノ酸変異地図を作成することを目的とした。 Taqポリメラーゼの読み間違いを利用し、ランダム変異をおこしたA/Aichi/2/68(H3N2)ウイルスのHAcDNAを発現ベクターに挿入した。得られたクローンをsequencingして変異部位を決定した。アミノ酸変異によるHAの機能喪失を血球吸着反応によって検討した。 この方法を用いてHA蛋白質の50%の領域にたいするアミノ酸変異地図を得た。その結果から次のことが明らかになった。 1)ランダムにおこったアミノ酸変異のうち許容されるのはHA1では44%であることがわかった。自然界では17-33%のアミノ酸が許容されていることから。この許容の差異は抗体から逃れるための選択圧と考えられる。2)自然界でみられるアミノ酸変異部位とin vitroで見られる許容されるアミノ酸部位の比較から、Egg adaptationに関与するアミノ酸156は例外であるが、アミノ酸変異の多くはAichi/68のHA上で許容されるものに限定されていることがわかった。3)抗原領域とみなされている領域は実は細かく細分されており、抗原領域とみなされている部位内にもアミノ酸変化が許容されない部位があることがわかった。4)同じアミノ酸部位に異なったアミノ酸変化がみられる場合には機能におよぼす影響はほとんどの場合同一であった。これはアミノ酸変異が機能におよぼす影響はどのようなアミノ酸に変化するかということより、部位のほうが重要であることを示唆するものと考えられた。
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