2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370110
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
烏山 一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60195013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米川 博通 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30142110)
森尾 友宏 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30239628)
反町 典子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30217468)
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Keywords | B細胞分化 / プレB細胞レセプター / 大型プレB細胞 / シグナル伝達 / チロシンリン酸化 / NKκB / Srcファミリーキナーゼ / PKC |
Research Abstract |
B細胞初期分化に重要な働きをしているプレB細胞レセプター(preBCR)の解析を進める上での大きな問題点は、プレB細胞表面での発現量が極端に低く、感度が高いとされるFlow cytometerを用いた解析でも検出することが困難であることであった。本年度の研究において、蛍光色素封入リポソームを用いた超高感度検出法を応用して骨髄細胞を解析した結果、ヒトでもマウスでもpreBCRが大型プレB細胞の表面に発現していることが確認され、preBCRの発現がB細胞分化のごく初期に限局して一過性に発現することが判明した。 Srcファミリーのチロシンキナーゼの単独ノックアウトマウスでは明らかなB細胞分化障害が認められないが、Blk, Fyn, LynのトリプルノックアウトマウスではpreBCRシグナル伝達障害による重篤なB細胞分化障害が認められた。このマウスでは、同じくpreBCRシグナル伝達障害を呈するSykノックアウトマウスとは異なり、NFκB活性化障害が認められた。さらなる解析から、preBCRのシグナル伝達において、Srcファミリーキナーゼを介するNFκBの活性化にPKC lamdaが関与していることが強く示唆された。 B細胞分化に関わる可能性のある分子としてプロB細胞刺激によってチロシンリン酸化される分子量36kD分子の蛋白精製ならびに遺伝子クローニングをおこなった結果、これが新規分子であることが判明しTPP36と命名した。特異抗体を作製し蛋白解析ならびに遺伝子解析をおこなったところ、TPP36には分子量32kDのスプライシングバリアント(TPP32)が存在することが明らかとなった。TPP36、TPP32いずれもチロシンキナーゼAblによってリン酸化されることが判明した。さらに、120番目のチロシン残基がリン酸化されることによって蛋白質の立体構造が変化することが明らかとなった。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Wang, Y-H., et al.: "Differential surrogate light chain expression governs B cell differentiation"Blood. 99. 2459-2467 (2002)
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[Publications] Taguchi, T., et al.: "Pre-BCR-mediated signal inhibits CD24-mduced apoptosis in human pre-B cells"J. Immunol.. 170. 252-260 (2003)
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[Publications] Kubo, S., et al.: "Long-term maintenance of IgE-mediated memory in mast cells in the absence of detectable serum IgE. J"J Immunol.. 170. 775-780 (2003)
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[Publications] Sato, E., et al.: "Chronic inflammation in skin can be induced in IgE transgenic mice by a singlde challenge of multivalent antigen"J. Allergy Clin. Immunol.. 111. 143-148 (2003)
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[Publications] Saijo, K., et al.: "Essential role of Src-family protein tyrosine kinases in NF-κB activation during B cell development"Nature Immunol.. 4. 274-279 (2003)
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[Publications] Tsuchiya, K., et al.: "Molecular cloning and characterization of TPP36 and its isoform TPP32, novel substrates of Abl tyrosine kinase"FEBS lett.. 537. 203-209 (2003)
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[Publications] 烏山 一: "プレB細胞レセプターを介するB細胞分化誘導"蛋白質核酸酵素増刊号. 47. 2182-2187 (2002)
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[Publications] 烏山 一: "B細胞発生・分化の分子制御機構とその破綻"感染炎症免疫. 32. 18-27 (2002)
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[Publications] Wang, J.W., et al.: "Influence of SHIP on the NK repertoire and allogeneic bone marrow transplantation"Science. 15. 2094-2097 (2002)
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[Publications] 反町典子: "NK細胞の系統発生-missing self認識の起源を求めて 動物界における免疫系の進化 別冊医学のあゆみ"医歯薬出版株式会社(分担分). 5 (2002)
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[Publications] 反町典子: "抑制性レセプターによる細胞接着制御 蛋白質核酸酵素増刊号 免疫研究の最前線"共立出版(分担分). 5 (2002)
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[Publications] 反町典子: "NKレセプターファミリー分,CD94とLy49Qの機能 Molecular Medicine増刊号 免疫2002"中山書店(分担分). 9 (2002)
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[Publications] 烏山 一: "「B細胞の初期分化」標準免疫学第2版(谷口克、宮坂昌之編)"医学書院(分担分). 9 (2002)