2002 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の細胞高次機能制御におけるCDMファミリー分子DOCK2の役割
Project/Area Number |
14370113
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60243961)
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Keywords | 細胞骨格 / 免疫シナプス / サイトカイン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
免疫応答は、生体における必須の防御機構であるが、一方感染に伴いしばしば自己に対する有害な免疫応答が惹起されることが知られている。これは、リンパ球が標的組織に浸潤し、組織由来の抗原を認識することにより惹起される。リンパ球の遊走にも抗原認識にも細胞骨格の再構築が必須であるが、その制御機構の分子レベルでの理解はなされていない。我々は、線虫のCED-5、ショウジョウバエのMyoblast Cityの哺乳類ホモログであり、且つリンパ球特異的に発現する分子DOCK2を単離し、ノックアウトマウスを作製することで、この分子が細胞骨格の再構築を介してリンパ球遊走を制御していることを明らかにした。しかしながら、CED-5やMyoblast Cityが細胞遊走以外にもさまざまな細胞高次機能を制御していることを考えると、DOCK2はリンパ球の細胞高次機能制御のさまざまな局面において重要な役割を演じている可能性が考えられる。 本年度は、1)TCRトランスジェニック-DOCK2欠損マウスを樹立することで、DOCK2が免疫シナプス形成においてある特定の分子移動に必須であることを明らかにすると共に、免疫シナプス形成はT細胞増殖反応やT細胞レパートリー形成には必須ではないが、その閾値を制御していること、2)Leishmania majorの感染実験を行い、DOCK2欠損がリンパ球遊走とサイトカイン産生の両者に影響を与えることでC57BL/6マウスを易感染性にすることを明らかにすると共に、3)リンパ球細胞骨格制御におけるDOCK2機能ドメインを明らかにし、それに会合する分子を同定し、このシグナル伝達系の生理的機能を明らかにするため種々の遺伝子改変マウスを作製した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Fukui Y: "Haematopoietic cell-specific CDM family protein DOCK2 is essential for lymphocyte migration"Nature. 412. 826-831 (2001)
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[Publications] 讃井 彰一: "CDMファミリー分子DOCK2によるリンパ球遊走の制御"Medical Science Digest. 28. 550-551 (2002)
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[Publications] 福井 宣規: "CDMファミリー分子DOCK2によるリンパ球遊走の制御"molecular Medicine増刊「免疫2003」. (in press). (2002)
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[Publications] 福井 宣規: "リンパ球遊走に不可欠なCDMファミリー分子DOCK2"蛋白質核酸酵素増刊「免疫研究の最前線:高次複雑免疫システムの包括的理解をめざして」. (in press). (2002)
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[Publications] 福井 宣規: "リンパ球遊走、ホーミングの制御機構"医学のあゆみ増刊「免疫疾患-state of arts」. 342-346 (2002)