2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化器における炎症後の分化異常とがん化の分子疫学的解析
Project/Area Number |
14370119
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯浅 保仁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80111558)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 智 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00332346)
丸山 和夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90165944)
|
Keywords | 胃がん / 腸上皮化生 / 転写因子 / メチル化 / CDX2 / SOX2 |
Research Abstract |
胃の炎症後の前がん病変的変化として、腸上皮化生は重要である。そこで、腸特異的ホメオボックス遺伝子CDX2の発現を免疫組織染色で解析した結果、腸上皮化生では高く、胃がんでは低かった。CDX2の発現が胃がんで低下している原因としてメチル化を調べた。胃がん由来細胞株で、CDX2の発現が低い細胞についてCDX2のメチル化を解析した結果、いずれでもメチル化が検出された。55例の原発性胃がんでも16例でメチル化が検出された。以上からメチル化によりCDX2発現が低下すると考えられる。 CDX2による腸上皮化生誘導の機序を明らかにするため、CDX2の転写活性化能を調べた。腸特異的粘液であるMUC2と、細胞周期を調節するp21について検討した。レポーターアッセイ、ゲルシフトアッセイ、mRNA発現誘導を調べたが、全ての実験でCDX2はMUC2とp21の発現を上昇させた。この結果、CDX2は細胞周期を止め、腸特異的タンパク質を発現させて、腸への分化を誘導する可能性が示唆された。 胃では発現があるが腸ではない転写因子SOX2の発現を、免疫組織染色で解析した。正常胃では腺頸部で発現が高く、それより上部または下部では発現が低かった。胃がんでは、腸型にくらべて胃型でSOX2の発現がより高かった。従って、SOX2は胃の分化・がん化に関与している可能性が示された。 さらに、胃がんに関与する消化管特異的転写因子を探すため、胃幽門部、十二指腸、膵臓で発現しているホメオボックスタンパク質PDX1の発現を解析した。PDX1に対する抗体を作成して、免疫組織染色を行ったところ、PDX1は幽門腺、偽幽門腺で発現が見られた。胃がんでは分化型、および早期胃がんで高かった。従って、PDX1と偽幽門腺ががん化に関与していることが示唆された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Bai Y-Q, et al.: "Ectopic expression of homeodomain protein CDX2 in intestinal metaplasia and carcinomas of the stomach"Cancer Letters. 176. 47-55 (2002)
-
[Publications] Homma MK, et al.: "Association and regulation of casein kinase 2 activity by adenomatous polyposis coli protein"Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.. 99. 5959-5964 (2002)
-
[Publications] Yanagisawa Y, et al.: "DNA methyltransferases DNMT3A and DNMT3B have two types of promoters with different CpG contents"Biochirnica Biophysica Acta. 1577. 457-465 (2002)
-
[Publications] Tanaka H, et al.: "The fission yeast pfh1^+ gene encodes an essential 5' to 3' DNA helicase require for the completion of S-phase"Nucleic Acids Research. 30. 4728-4739 (2002)
-
[Publications] Yamamoto H, et al.: "Homeodomain piotein CDX2 regulates goblet-specific MUC2 gene expression"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 300. 813-818 (2002)
-
[Publications] Miyake S, et al.: "A novel EID-1 family member, EID-2, associates with histone deacetylases and inhibits muscle differentiation"J. Biol. Chem.. (in press). (2003)
-
[Publications] 湯浅 保仁他: "これからのバイオインフォマティクスのためのバイオ実験入門"羊土社. 203 (2002)