2003 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体を介した農薬類の内分泌攪乱作用の機構解明・リスク評価
Project/Area Number |
14370121
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 俊文 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50231105)
市原 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90252238)
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Keywords | 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 / ライディッヒ細胞 / テストステロン / コレステロール合成 / プロゲステロン / マウス / 培養細胞 / PPARα |
Research Abstract |
種々の外因性内分泌攪乱化学物質が血清のテストステロン濃度に影響を与える事は報告されているが、その機序は十分解明されたとはいえない。そこでマウスLeydig腫瘍細胞を用いて2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)のテストステロン合成系への影響を検討した。テストステロンの合成は、テストステロンの基質である内因性コレステロールの合成に関する項目、HMG-CoA synthase (HMGS)、HMG-CoA reductase (HMGR)、ミトコンドリアへの輸送に関する項目、steroidogenic acute regulatory protein (StAR)、peripheral-type benzodiazepine receptor (PER)、cytochrome P450scc (CYP11A)、テストステロン合成に関する項目cytochrome P450 17α (CYP17)、 17β-hydroxysteroid dehydrogenase (17β-HSD)、3 β-hydroxysteroid dehydrogenase (3β-HSD)に分け、これらのテストステロン合成に関わる酵素、キャリア蛋白、受容体のmRNA発現に対するMEHPの影響を定量リアルタイムPCR法によって検討した。同時にMEHPのPPAEα-mRNAへの影響も検討した。培養した細胞に2.4-Dを曝露し、48時間後1nMのhCGを含む無血清培地に交換した。2時間後、培地と細胞をそれぞれ回収し、細胞の一部はRNAlater内で保存し、RNA分析に使用した。RNAの抽出にはキアゲン社製RNeasy protect mini kitとRNase-Free DNase setを使用した。培地中のプロゲステロンとテストステロンはそれぞれCayman社のEIAキットで測定した。RNAは定量リアルタイムPCR法で測定した。テストステロン濃度は1.0mMで上昇し、3mMで元のレベルに減少した。プロゲステロン濃度はテストステロンと類似した挙動を示したPPARα-mRNA量の変動はみられなかった。内因性コレステロール合成に関わるHSとHRのmRNAは類似した挙動を示し、2,4-D曝露濃度の上昇に伴い減少した。StAR-mRNAとPBR-mRNA量はテストステロンやプロゲステロンと類似した挙動を示したCYP11AmRNAの変動は認められなかったCYP-mRNAと3β-mRNAは高濃度のMEHP曝露濃度でのみ変動し、3mMは確実に減少していた。これらの結果は2,4-Dによるテストステロン低下はCYP17や3β-HSDの発現が抑制されたことによることを示唆する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakajima T, Yamanosita O, Kamijima M, Kishi R, Ichihara G: "Generalized skin reactions in relation to trichloroethylene exposure : a review from the viewpoint of drug-metabolizing enzymes"J Occup Health. 45(1). 8-14 (2003)
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[Publications] 那須民江他: "環境化学物質の代謝とその周辺"日本公衆衛生協会. 362 (2003)
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[Publications] 分子予防環境医学編(那須民江他): "分子予防環境医学"本の泉社. 768 (2003)