2004 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体を介した農薬類の内分泌撹乱作用の機構解明・リスク評価
Project/Area Number |
14370121
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90252238)
青山 俊文 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50231105)
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Keywords | ペンタクロロフェノール / 甲状腺 / 芳香族炭化水素受容体 / ノックアウト / マウス / グルクロン酸抱合酵素 / constitutive androstane receptor / トランスサイレチン |
Research Abstract |
野生型および芳香族炭化水素所様態(AhR)ノックアウトマウスを用いて、ペンタクロロフェノール(PCP)による甲状腺ホルモン(T4)の低下のメカニズムを解析した。野生型およびAhRノックアウトマウスに0,3,10,30mg/kgのPCPを28日間経口投与した。最終投与から16時間後にマウスを解剖し、血清と肝を採取した。血清はT4濃度の測定に使用し、肝はmRNA, western blot分析および酵素活性に使用した。mRNAはて医療リアルタイムPCR法を、酵素活性の測定には高速液体クロマトグラフィーを使用した。野生型マウスにおいてAhR-mRNAはPCPにより増加したが、ノックアウトマウスでは増加は認められず、PCPがAhRに配位することが明らかとなった。PCPは野生型マウス肝のUGT-グルクロン酸抱合酵素(UGT)1A1と1A6のmRNAを増大させた。さらにUGT1A1の基質として、ビリルビンを、1A6の基質として1-ナフトールを用いて酵素活性を測定したところ、1-ナフトールの活性はPCP投与により増大していることが判明した。AhRノックアウトマウスではmRNAでも酵素活性でも野生型マウスのような現象は観察されなかった。これらの結果から、PCPはAhRを介してUGT1A6を誘導することが明らかとなった。ついでPCPのT4値への影響を検討した。予想に反して、PCPは全遺伝子型マウス(野生型、AhRノックアウトマウス)においてT4を減少させた。PCPの甲状腺への作用にAhRが関与していないことが判明したので、次に、CAR(constitutive androstane receptor)の関与を検討した。両遺伝子型マウスにおいて、CARのmRNAは増加しなかったことから、CARの関与も否定された。PCPはトランスサイレチンと強く結合することが知られているので、PCPによるT4の減少にはトランスサイレチンが関与しているのかもしれない。
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