2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁界測定を用いた細胞・器官レベルでの化学物質有害性評価法の開発
Project/Area Number |
14370127
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
相澤 好治 北里大学, 医学部, 教授 (10124926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敏彦 北里大学, 医学部, 助教授 (10225972)
新津谷 真人 北里大学, 医学部, 講師 (10245417)
工藤 雄一朗 北里大学, 医学部, 助手 (60348505)
川上 倫 北里大学, 医学部, 教授 (60177649)
小谷 誠 東京電機大学, 工学部, 教授 (60057205)
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Keywords | ロックウール / クリソタイル / 肺胞マクロファージ / 細胞傷害性 / 細胞磁界測定 / 乳酸脱水素酵素 / アポトーシス / Micro glass fiber |
Research Abstract |
【緒言】人造非晶質繊維の一種であるロックウール(RW)やMicro glass fiber(MG)は、石綿代替物質として断熱・保温・増強などの建築材料として使われている。しかし、研究報告数が少なく、呼吸器に対する安全性は未だ明らかとは言えない状況にある。本研究では、一昨年A社製RWは、石綿の代表物質であるクリソタイルファイバー(CF)に比べて、ラットの肺胞マクロファージ(AM)への細胞傷害性が低い事を報告した。また昨年度、MGについても同様に行い細胞傷害性が低い事を報告した。今年度は、1)in vitro実験:B, C社製RWを用い同様な実験を行う。2)in vivo実験A, B, C社製RWについて、ラツトを用いた鼻部吸入曝露実験を行ない、肺内繊維滞留率より安全性を検討する。 1)in vitro実験:【材料調整】オスのフィッシャー系ラットから気管支肺胞洗浄により、得られたAMに、緩和の指標となる四三酸化鉄粒子を添加し、さらに実験群にはRW(最終濃度が50,100,150μg/m])とCF(最終濃度が50μglml)を加え、陰性対照と同様に炭酸ガス培養器にて37℃で18時間培養した。 【分析方法】細胞磁界測定:培養後、各群のAMを外部より磁化し、磁化後20分間の残留磁界を測定した。細胞外逸脱酵素測定:細胞磁界測定で使用した培養液に含まれる乳酸脱水素酵素のLDH活性値を測定した。DNA ladder検出法:培養後、各群のAMよりDNAを抽出し、アボトーシスの有無を検討した。さらに、電子顕微鏡による形態学的観察を行った。 【結果および考察】細胞磁界測定により、RW(B, C社製)添加群及びPBS添加群で緩和は迅速に認められたが、CF添加群では遅延した。LDH測定の結果CF添加群は逸脱酵素の増加が認められたが、RW(B, C社製)添加群及びPBS添加群では認められなかった。DNA ladder検出法およびアボトーシスについては、全ての群において影響は認められなかつた。電子顕微鏡観察では、CF添加群に細胞の変形が認められたが、RW(B,C社製)添加群では軽度であった。以上の事から、両RWはCFに比較して、細胞傷害性は低い事が示唆された。 2)in vivo実験:【方法】A,B,C社製RWをそれぞれ目標曝露重量濃度を30mg/m^3に設定し,オスのラットを用いて1日3時間5日間鼻部吸入曝露を行い曝露直後,1,2,4週後に屠殺し、肺を灰化後、位相差顕微鏡により肺内繊維数およびサイズ(長径・短径)から肺内繊維滞留率を検討した。 【結果および考察】3社のRWとも、肺内繊維数およびサイズは直後から4週にかけて減少し肺内繊維滞性が低いことがわかった。 【今後の課題】1)繊維の溶解性の検討。2)鼻部吸入曝露実験後,肺磁界測定を行い4週経過後のRWの生体影響の観察。3)病理学的観察。4)鼻部吸入曝露実験後の長期間にわたる肺内繊維滞留性の観察。 以上のことから安全性のさらに検討する。
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Research Products
(6 results)