2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市化により減少する自然環境と住民への健康影響について
Project/Area Number |
14370134
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高野 健人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80126234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 桂子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00211433)
福田 吉治 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60252029)
梅崎 昌裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30292725)
渡辺 雅史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90280974)
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Keywords | 健康指標 / 都市医学 / 自然環境 / リモートセンシング / 地理情報システム / コホート研究 / 都市生態系 |
Research Abstract |
自然環境要素、人為的環境要素等の「都市生態系」の急速な変貌、特に人為的に開発された都市環境と減少する自然環境が、そこで生活する人々の健康に与える様々なインパクトを明らかにすることを目的とした。 まず、地域健康指標と自然環境の数量的評価値に基づく自然環境の減少と健康水準の解析として、3つの海外フィールド調査を行った。ベトナムフエ市の研究においては、船上居住者の悉皆調査により、衛生行動に関する知識、社会経済的要因とともに、居住環境が感染症等の有病率と関連している様相を明らかにした。中国上海市における自然環境、社会経済的環境、健康水準に関連する指標を用いた、小地域を単位とした地理情報システム(GIS)による環境健康評価システムを開発し、各指標の地理的分布の相違と指標間の関連性を明らかにした。パラオ共和国バベルダオブ島への首都移転に伴う生態系の変化と健康影響をモニタリングするシステムとして、GISおよびGPSを用いた感染症サーベイランスシステムを構築した。 次に、首都圏の異なる3つのコホート集団を用いて都市自然環境と健康に関連する研究を行った。高齢者のコホートデータ(ベースライン1989年、当時74〜89歳)から、家の周囲の自然環境の減少にともない高齢者の死亡率が上昇することを明らかにした。首都圏のこども(3〜5歳)のコホートデータから、基本的な社会経済的状態や他の生活関連行動を調整しても、外遊び時間が子供の健康状態と有意に関連していることを明らかにした。首都圏の男性のコホートデータ(ベースライン1998年、当時46〜50歳)から、ライフスタイルならびに「自然環境」へのアクセス度と生活習慣病の変化との関連性を解析した。 以上より、都市の自然環境の減少が各集団の生活する条件のもとで健康への多様な影響をもたらすことが明らかになり、また、都市生態系の中で自然環境と人間の健康との関係を評価するフレームワークを提示した。
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Research Products
(14 results)