2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本の臭素系難燃剤汚染による環境及び人体負荷影響の解明
Project/Area Number |
14370148
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Research Institution | Setsunan university |
Principal Investigator |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 助教授 (10213729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助手 (20248066)
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Keywords | 臭素系難燃剤 / 環境汚染 / 人体汚染 / 臭素化ダイオキシン / PBDEs / TBBPA / TBPs / PBDDs |
Research Abstract |
H14〜15年度の研究実績としては、以下のことが明らかとなった。まず、過去15年間に渡って、大阪湾及び大和川河口で毎年捕獲された、スズキ及びボラ試料を用いて臭素化難燃剤の汚染度の経年変化の検討を試みた。その結果、PBDEsの需要動向と、スズキとボラの可食部中に観察されたPBDEsの蓄積性においては、1990年までの低臭素化体中心の汚染と、91年以降の高臭素化体汚染に分けることができるという世界的にも極めて稀な汚染傾向を示すことが判明した。一方、TBBPAに関しては、その濃度変動も需要量には相関せず横ばいであった。次に、ヒト母乳を用いて、人体汚染実態の解明を試みたところ、PBDEsには、かなり汚染レベルに差異があるととが観察された。また、TBBPA及びTBPs濃度は、需要量の高いTBBPAよりもTBPs濃度の方が高く、母乳中に高濃度に含まれていることが明らかとなった。また、興味深いことに、初産婦試料の中において、PBDEs、TBBPA及びTBPsといったBFRs全てにおいて、他の母乳よりも高濃度に汚染されていることが観察され、高濃度暴露者の存在も明らかとなった。最後に、現在市販されている牛乳や粉ミルクを用いて比較、検討を試みた結果、PBDEs濃度を比較してみると、人口乳として繁用されてしいる粉ミルク中に、極めて高濃度の汚染が観察された。これは、母乳において最高濃度を示した初産婦においても、その濃度は13ng/g lipidであったのに対して、粉ミルクでは、最高濃度で170ng/g lipidの試料が観察された。さらに、その異性体パターンを見ると、母乳に関しては、TeBDEやPeBDEといった低臭素化体のPBDEsが比較的高い割合で検出されたが、粉ミルクに関しては、HxBDE〜DeBDEといった高臭素化体のPBDEsの汚染がほとんどの割合を占めることが観察され、極めて興味深い結果となった。
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