2003 Fiscal Year Annual Research Report
虚血誘発性心筋アポトーシス細胞を利用した心筋梗塞の生化学的診断マーカーの検索
Project/Area Number |
14370154
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
的場 梁次 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20107056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 善孝 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00145749)
大澤 資樹 山形大学, 医学部, 教授 (90213686)
中留 真人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90263251)
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Keywords | 心筋梗塞 / 虚血誘発性アポトーシス / 培養心筋細胞 / アポトーシス関連遺伝子 |
Research Abstract |
ラット心筋梗塞モデルによる虚血再灌流実験では、TUNEL陽性細胞は再灌流30分で若干認められ、その後徐々に増加し、再灌流120分で最大数認められた。このことは、TUNEL陽性細胞が早期診断マーカーとして適応できる可能性を示唆するものである。また、定量的RT-PCRの結果、虚血30分の段階ではBax/Bcl-2比は減少傾向にあったが、再灌流によりBax/Bcl-2比は増加傾向を示した。これは、両者がヘテロダイマーを形成し、再灌流によってBax優位の状態が生じ、その結果アポトーシスを促進させているという説を支持するものである。一方、ランゲンドルフ灌流装置を用いて単離した、成熟ラット正常心筋細胞による酸素欠乏実験では、酸素欠乏暴露時間を、0分、30分、1時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間と変化させ、さらに再酸素供給時間も0分、30分、1時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間と延長させたモデルをそれぞれ作成した。その結果、酸素欠乏暴露時間が長くなるに従って、その後再酸素化状態にしても、アポトーシスは生じない傾向を示した。さらに、細胞自体のダメージも大きくなり、mRNAの回収量も減少した。そして最もアポトーシス細胞が認められた条件は、酸素欠乏暴露時間30分、再酸素供給時間1時間であることが判明した。また、それぞれのグループの細胞から抽出したmRNAを用いてBax及びBcl-2の発現量を比較したが、有意差は認められなかった。これは、vitroでの実験系においてはBax/Bcl-2発現量比に経時的変化が認められないことを意味する一方、生体内においては、複雑に未知のファクターが働いてBax/Bcl-2発現量比が変化している事を示唆するものである。今回の実験結果から、Bax/Bcl-2発現量の変化を心筋梗塞の診断に単独で応用するのは困難であるが、付随して変化する他のアポトーシス関連物質も同時に検出することで、診断にも応用可能であることが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakatome M: "Detection of cardiomyocyte apoptosis in forensic autopsy cases"International Journal of Legal Medicine. 116(1). 17-21 (2002)
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[Publications] Nakatome M: "Analysis of single nucleotide polymorphisms (SNPs) in human coagulation factor V (CFV) gene"DNA polymorphism. 10. 148-150 (2002)
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[Publications] Iino M: "Real-time PCR quantitatiion of FE65 a b-amyloid precursor protein-binding protein after traumatic brain injury in rats"International Journal of Legal Medicine. 117. 153-159 (2003)
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[Publications] Inoue H: "Maternal methamphetamine administration during pregnancy on fetal rat heart development"Life Sciences. 74. 1529-1540 (2004)