2002 Fiscal Year Annual Research Report
Th1/Th2分化制御による慢性関節リウマチの分子標的療法開発への基礎的研究
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14370167
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渋谷 和子 理化学研究所, 免疫系受容体研究チーム, 研究員 (00302406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 厚志 東京大学, 医科学研究所, 講師 (70244126)
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Keywords | 自己免疫応答 / 関節リウマチ / Th1細胞 / Th2細胞 / 分化誘導 / サイトカイン非依存性 / LFA-1 / CD226 |
Research Abstract |
最近の研究により関節リウマチにおいて、Th1細胞とTh2細胞の不均衡が病態に密接に関与していることが明らかになってきた。Th1細胞とTh2細胞はともに同一のCD4陽性ナイーブT細胞から分化するため、Th1/Th2分化メカニズムの解明は関節リウマチの病態解明や新しい治療法開発への糸口となることが期待される。 CD4陽性ナイーブT細胞への遺伝子導入は、Th1/Th2細胞分化の分子メカニズムの解析においてきわめて重要な手段である。しかし、現在広く普及しているオンコレトロウイルスベクターによる遺伝子導入法は、ウイルスゲノムが宿主染色体に組み込まれる時に宿主細胞の分裂が必要なため、非分裂細胞期のナイーブT細胞への遺伝子導入には利用できない。そこで、今回私達は非分裂細胞にも感染し、ウイルスゲノムを宿主染色体に組み込むことができるレンチウイルスを基に作成されたベクターを用いてCD4陽性ナイーブT細胞への遺伝子導入系の確立を試みた。その結果、70%以上のナイーブT細胞にナイーブマーカーの発現を維持したまま遺伝子を導入することに成功した。また、遺伝子導入後も99%以上の細胞がG1/G0期にとどまっており、Th1/Th2分化能も保持していることが確認できた。 さらに、私達は、ナイーブT細胞上に発現する接着分子LFA-1刺激によってTh1細胞が分化誘導されることを見いだした。これは、IL-12非依存性の新しいTh1分化誘導経路であった。次に上記で確立した系を用いて、ナイーブT細胞にドミナントネガティブ型CD226を遺伝子導入したところ、LFA-1刺激によるTh1細胞分化誘導が抑制されCD226がシグナルトランスデューサーとして機能していることが明らかになった。 次年度では、LFA-1/CD226複合体を介するシグナルと関節リウマチの病態との関係についてマウスモデルを用いて解析していく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Murata, H.: "T cell receptor repertoire of T cell in the kidneys of patients with lupus nephritis"Arthritis.Rheum.. 46. 2141-2147 (2002)
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[Publications] Iwama, A.: "Reciprocal roles for C/EBP and PU.1 transcription factors in Langerhans cell commitment"J.Exp.Med.. 195. 547-558 (2002)
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[Publications] 渋谷和子(住田孝之編集): "EXPART 膠原病・リウマチ"診断と治療社. 445 (2002)