2004 Fiscal Year Annual Research Report
胃上皮細胞の癌化過程における炎症性サイトカインと増殖因子の相互作用
Project/Area Number |
14370181
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠村 恭久 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90162619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 達也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50322178)
藤本 敬 大阪大学, 医学部附属病院, 医員(臨床研究)
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Keywords | 胃癌 / Helicobacter pylori / ガストリン / IL-1 / 胃炎 / HB-EGF / CD9 |
Research Abstract |
私共は、Helicobacter pylori感染によって惹起される皺襞肥大型胃炎において胃癌発生が高頻度に認められること、この胃炎の病態に高ガストリン血症と胃粘膜内IL-1β産生の亢進が関与すること、さらに、ガストリンは胃粘膜においてHB-EGFやアンフィレグリンなどのEGF系増殖因子の産生を促進することを明らかにしてきた。本研究において炎症胃粘膜から胃癌発生・進展における炎症性サイトカインと増殖因子の役割について検討し、以下の点を明らかにした。 1.皺襞肥大型胃炎が低分化型胃癌のハイリスク群であることを示し、この胃炎粘膜においてTHBS-1やDAP kinase、E-cadherin遺伝子のDNAメチル化が高頻度にみられることを明らかにした。 2.胃癌においてHB-EGFとCD9が関連して発現していることを明らかにした。HB-EGFと共発現するCD9の役割を明らかにするため胃癌細胞株に抗CD9抗体を添加して検討した結果、CD9は胃癌細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導することを明らかにした。この作用にp46 Shcアイソフォームのチロシン燐酸化が関与することを示した。また、抗がん剤CTP-11の活性型代謝産物SN38は胃癌細胞においてEGF受容体のチロシン燐酸化を誘導し、HB-EGF、アンフェレグリンなどEGF系増殖因子およびIL-8の産生を惹起することを明らかにした。HB-EGFは胃癌に高発現し、その発生、進展に重要な役割を担っていると考えられた。
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Research Products
(6 results)