2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370196
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
下方 薫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10022906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 好規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20270986)
関戸 好孝 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00311712)
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Keywords | がん / 化学療法 / テーラード療法 / 遺伝子多型 / 薬物代謝酵素 / 臨床研究 / イリノテカン |
Research Abstract |
薬効や副作用には個人間変動が大きい。その要因の一つとして、薬物代謝酵素の遺伝子多型に基づく酵素活性の差が挙げられる。 イリノテカンは各種腫瘍に対して高い抗腫瘍活性を示すが、骨髄抑制や下痢などの重篤な副作用が報告されている。イリノテカンによる副作用の個人差は、その活性代謝物であるSN-38の薬物動態に関連があると推測されている。SN-38の代謝的解毒過程であるグルクロン酸抱合は、グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronosyltransferase, UGT)の分子種であるUGT1A1によって行われるUGT1A1のプロモーター領域やエクソン領域に遺伝子多型が存在し、酵素活性が異なることが示されている。プロモーター領域に存在する遺伝子多型の一つであるUGT1A1^*28がホモの多型の場合、SN-38とそのグルクロン酸抱合化されたSN-38Gの比はヘテロの多型あるいは通常の野生型に比べておよそ2倍の高値を示した。すなわちUGT1A1^*28がホモの多型の場合にはSN-38がダルクロン酸抱合されて解毒される力が低下していることが示された。 体重や体表面積によらない個別化(テーラーメード)薬物療法の確立を目指し、抗腫瘍剤イリノテカンの代謝酵素であるUGT1A1の多型別に、シスプラチン併用時のイリノテカンの第一相試験を計画した。施設内倫理委員会審査、施設内IRB審査を経て、臨床試験を開始した。UGT1A1*28がホモあるいはヘテロの多型を呈する場合に、通常量の半量のイリノテカンで治療を開始したところ、重篤な副作用と考えられる下痢は認められなかった。イリノテカンによる化学療法に際して、あらかじめUGT1A1の多型を決定し多型別にイリノテカンの投与量を設定することは臨床的に有用と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Uchiyama M: "Loss of heterozygosity of chromosome 12P does not correlate with KRAS mutation in non-small cell lung cancer."International Journal of Cancer. 107. 962-969 (2003)
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[Publications] Usami N: "β-catenin inhibits cell growth of a malignant mesothelioma cell line, NCL-H28, with a 3p21.3 homozygous deletion"Oncogene. 22. 7922-7930 (2003)