2003 Fiscal Year Annual Research Report
心不全発症における心筋細胞・核内情報伝達機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
14370224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 浩二 京都大学, 医学研究科, 助手 (50283594)
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Keywords | p300 / GATA-4 / transcription / acetylation / cardiac myocyte / heart failure / hypertrophy |
Research Abstract |
p300はMEF-2やGATA-4の様な心筋肥大応答の転写因子のコアクチベーターとして作用する。p300はまたヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性も有し、ヒストンだけでなくDNA結合転写因子のアセチル化も誘導する。我々は最近p300がGATA-4のアセチル化及びそのDNA結合活性を高め、心筋細胞の肥大応答に重要であることを報告した。しかし、vivoにおいて心筋梗塞後の左室リモデリングにおけるp300の役割は不明である。このため心臓でp300を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成し12週齢で心筋梗塞もしくはシャム手術を施行した。5週後の心エコーでは、シャム手術群では野生型(WT)とトランスジェニック型(TG)の間で左室サイズや機能に差はみられなかった。一方心筋梗塞群では、TGでWTに比べより左室駆出分画が低下し、左室拡張期及び収縮期径が拡大していた。両群間で梗塞サイズに差はみられなかった。心筋梗塞後にp300/GATA-4経路の下流のターゲットである左室エンドセリンー1濃度がTGでWTに比べより有意に増大していた。以上より、心臓でp300を過剰発現するトランスジェニックマウスにおいて心筋梗塞後慢性期の左室エンドセリンー1濃度は上昇しリモデリングは促進されることが示された。核内情報伝達機構の詳細な解明は心不全の分子細胞レベルでの解明に非常に有用で治療のターゲットになる可能性も期待できる。今後さらなる詳細な解明により心不全の根本的な治療法が開発されることが期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Abe M., et al.: "GATA-6 is involved in PPARγ-mediated activation of differentiated phenotyoe in human vascular smooth muscle cells"Arterioscler Thromb Vasc Biol. 23. 404-410 (2003)
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[Publications] Yanazume T., et al.: "Cardiac p300 is involved in myocyte growth with decompensated heart failure"Mol Cell Biol. 23. 3593-3606 (2003)
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[Publications] Eri Iwai, Kanai E., et al.: "Effects of endothelin-1 on mitochondrial function during the protection against myocardial cell apoptosis"Biochem Biophys Res Commun. 305. 898-903 (2003)
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[Publications] Yanazume T., et al.: "Biological role of p300 in cardiac myocytes"Mol Cell Biochem. 248. 115-119 (2003)
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[Publications] 平井 希俊など: "ES細胞から心筋細胞への分化誘導"医薬ジャーナル社 Ischemic Heart Disease (IHD) Frontier. 4. 20-25 (2003)
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[Publications] 宮本昌一など: "講座心血管病のモデル動物第6回「心筋p300トランスジェニックマウス」"先端医学社 分子血管病. 4巻6号. 651-655 (2003)