2002 Fiscal Year Annual Research Report
拡張型心筋症に起因する慢性心不全に対する遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
14370228
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松崎 益徳 山口大学, 医学部, 教授 (60116754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大草 知子 山口大学, 医学部, 助手 (00294629)
矢野 雅文 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
池田 安宏 山口大学, 医学部, 寄附講座教員 (00260349)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 客員助教授 (60322244)
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Keywords | 慢性心不全 / 拡張型心筋症 / 蛋白ホスファターゼ1 / アデノウイルスベクター / アデノ関連ウイルスベクター / 心筋症ハムスター / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
慢性心不全のモデル動物として、心筋症ハムスターUMX7.1 strainを用い、正常な心機能期(6週齢)から、心肥大期(10週齢)、心不全期(28週)へと移行するそれぞれの時期において、心機能・protein phosphatase 1,2A蛋白発現レベルと活性(phosphorylase a 脱リン酸化活性)・主要な細胞内リン酸化蛋白のリン酸化レベルを検討した。対照群としては週齢の一致した正常ハムスターを使用した。蛋白発現、phosphatase活性は、心筋のhomogenateを細胞質分画とマイクロソーム分画に遠心分離し、それそれ別々に測定した。心収縮性は10週齢からわずかに低下し、心エコー上も軽度の左心肥大が認められた。28週齢では、収縮性は著明に低下しており、左心室内圧測定で著しい左室拡張末期圧の上昇がみられた。Protein phosphatase (PP)1の蛋白発現レベルはαisoformが、細胞質分画、マイクソローム分画ともに10週齢から28週齢にかけて有意に増加していた。PP1β,γ isoformの発現レベルには変化はみられなかった。PP1αの増加している時期に一致してphosphorylase a 脱リン酸化活性は細胞質分画において、約30%増加していた。PP2Aの蛋白発現レベル、phosphorylase a 脱リン酸化活性には変化は認めなかった。主要な細胞内リン酸化蛋白のリン酸化レベルの検討ではphospholambanのリン酸化の低下が28週齢においてみられた。そこで、PP1の細胞質での内因性阻害物質である、inhibitor-1(I-1), inhibitor-2(I-2),調節蛋白GmのcDNAをクローニングし、活性型mutantを作成、アデノウイルスベクターに組み込んだ。293培養細胞系、培養心筋細胞系において、PP1阻害活性を測定したところ、Gmには阻害活性はあまりなく、I-1mutant, I-2を発現するアデノウイルスにおいてのみ、PP1阻害活性が得られた。現在I-1, I-2を発現するアデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターを用いて、in vivo心筋高効率遺伝子導入を行い、解析を進めているところである。また、同時に単離心筋細胞培養系に置いて細胞内Ca^<2+>Transient/Contractilityを測定するシステムを購入し、測定に必要な機器の調整を行っている。
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